花火・爆竹工場倉庫の所在地は宿松県隘口郷。同地に住む女性、章麗さん(仮名)によると、川で洗濯をしている時、あたりが大音響に包まれた。飛び上がるほど驚いて家に駆け戻ると、屋外で息子を連れた夫が呆然として立ちすくんでいたという。あたりには砕け散ったガラスの破片や、飛来した木材などが散乱していた。
夫は寝ているときに大音響で飛び起き、そのまま息子とともにわけも分からず自宅の外に逃げた。近隣住民の多くも同様で、後になって花火・爆竹工場の倉庫の爆発と知ったという。
倉庫では爆発に続いて火災が発生した。爆発したのは原料となる化学薬品だったが、製品の花火や爆竹も次々に破裂した。県消防が午前5時40分ごろに現場に到着し、消火活動を開始。午前7時50分ごろまでに、ほぼ消し止めた。
中国では花火などの消費が最も増えるのは冬の旧正月時期であり、秋ごろから増産に努める企業が多い。花火や爆竹を生産する宿松県安花化工は8月29日、過塩素酸カリウム500キログラム、アルミニウム粉末150キログラム、硫黄520キログラムを購入し、倉庫に保管した。
倉庫は8月28日に降った雨で壁全体が湿っており、内部の湿度が上昇していた。中国での報道によると、水分により一部の化学薬品が燃え出して爆発、さらに倉庫に保管していた花火や爆竹にも燃え移って連鎖反応が発生したと考えられるという。
同爆発で、隘口郷の小〓、花学、隘口の各地域、隣接する二郎鎮などの民家に被害が出た。宿松県は調査チームを組織して、同事故についての調べを続けている。
同爆発事故で、死傷者は出なかった。(編集担当:如月隼人)(イメージ画像:Photo by Thinkstock/Getty Images.)
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◆解説◆
爆発を起こした倉庫に保管されていた化学薬品のうち、アルミニウム粉末は酸素と結合(酸化)しやすい可燃物。酸、水、アルコール、酸化剤などに触れると爆発的に燃焼する。そのため、アルミニウム粉が燃える火災の場合、水をかけることはできない。