中国メディア・法制晩報は15日、「中国人観光客はそれほどまでに『招かれざる客』なのか」と題し、「中国人はモラルがない」とひとくくりに論じる風潮に対して疑問を呈する評論文章を掲載した。

 文章はまず、日本のテレビ局が先日浅草や富士山で繰り広げられる中国人観光客のマナー違反行為について紹介したことや、タイのメディアがチェンマイ大学を訪れる中国人観光客が増加する一方でモラルに欠ける行動が問題化していると報じたことを紹介。
国外のみならず中国内においても、文化財に字を刻んだり、遺跡の彫像にまたがって写真を撮ったりといった行為が伝えられているとした。

 そのうえで、このような報道が近年減らないどころか増える一方であるとし、明らかさまに問題を起こす人は少数に過ぎないにも関わらず、中国人観光客全体の印象まで下がってしまっていると説明。これは非常に「濡れ衣」を感じる問題であり、間もなくやって来る国慶節の連休においても再び「中国人はモラルがない」というレッテルを張られることになれば「われわれは楽しく遊ぶこともできない」とした。

 そして、観光客によるマナー違反行為は時としてただの“モラル問題”ではなく、現地の習慣や風習を理解していないことにも関係があると論じ、その例として「左側通行を採用している東南アジアの一部の国でバイクを借りる際、この点をうっかり忘れてしまうことで交通安全意識が低いとされてしまう」、「ドレスコードや習慣を理解していないために、ふさわしくない身なりでレストランに行き、会話や飲食でも現地人の禁忌を犯し、他人に対するリスペクトが足りないとみなされる」といったケースを紹介。重要なのは、観光客に対して出国前に注意喚起と指導をすることなのだとした。

 また、「他山の石」として韓国でも1989年の民主化運動成功後に起きた自由旅行ブームにおいて同様のマナー違反問題が生じたことを紹介。
問題の深刻に受け止めた韓国政府が、国外旅行者に渡航先の文化や習慣を知るための数時間のレクチャー受講を義務付ける措置を取ったことを伝えた。さらに、モラルに起因するマナー違反行為者に対してブラックリスト制度のほかに、運転免許制度を模した減点システムを試してみることも提案。違反者の国外渡航を制限し、道徳や礼儀を学びなおして試験にパスするまで渡航を認めないようにすることを提起した。

 文章はこのほか、中国人観光客のモラル教育を進める一方で「われわれも決して必要以上に卑下しすぎることはない」とし、メディアが中国人観光客のポジティブな面についても大いに紹介すべきであるとの見解を示した。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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