簡体字に「拒否感」、極端な場合には「嫌悪感」を示す台湾人は珍しくない。文化にほとんど干渉しなかった英国統治のもとで繁体字を使い続けた香港でも、最近では小学校で簡体字を学ぶようになり、「20年もしないうちに、繁体字はなくなってしまうのでは」と心配する香港人もいるという。
そうなれば、繁体字は「台湾文字」の座しか保てないことになる。しかし台湾のインターネットでは「台湾が彼らの国と違うことを示せてよいではないか」、「そりゃ、すばらしい。台湾と中国は徹底的にサヨナラだ」、「気分いいなあ。繁体字をしっかり使って優越感だ」などの意見が多い。「世界遺産に申請を」と主張する人もいる。
実は、漢字略字化の研究が始まったのは清朝末期の1909年だった。中華民国政府も1935年に324文字からなる「第1期簡体字表」を発表している。しかし内戦に敗れ台湾に移った蒋介石、「共産党は文化の破壊者。国民党は伝統文化を守る」との方針を強化したため、台湾では古くからの繁体字を使いつづけることになった。
台湾における現在の繁体字論議を見ると、「伝統の維持」よりも、「大陸と台湾は違う」ことに意義を見出す傾向が目立つ。
ただし、「体、国、亀、対……。繁体字には面倒すぎるものもあるよなあ」との意見を示す人もいる。
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◆解説◆
「繁体字」は大陸側の呼称であり、台湾では本来「正字」と呼ばれる。ただし「繁体字」との言い方も広く使われるようになった。
「繁体字を世界遺産に登録」との声が出たのは今回が初めてではない。2009年に台湾で行われた、台湾の詩人、鄭愁予氏と大陸の作家、王蒙氏の公開対談では、鄭氏が繁体字を世界遺産に登録すべきと主張。鄭氏は漢字の世界登録への登録を急ぐべきと主張。「韓国人に先取りしたら、間に合わなくなる」と、笑いながらつけ加えたという。
王氏も、簡体字は国際的な中国語普及では有利だが、文化的な意義は繁体字の方が大きいと、繁体字を高く評価した。(編集担当:如月隼人)(イメージ画像は編集部作成)
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