
中国は毎年3月の全国人民代表大会の場で、首相自らが前年の成果と問題点、当年の方針を盛り込んだ「政府工作報告」を発表する。中国では全国人民代表大会が国家最高の権力機関と定められているので、首相が同大会に対して「報告」を行い、承認を得る形式だ。
中国の政治は共産党上層部により決められることは周知の事実だが、共産党の上層部の承認を得て、「国としての方針」を確定する場が人民代表大会と言ってよい。
李克強首相は、消費者向け商品の品質問題について「安全基準を国際的な基準にせねばならない。商品の品質に問題があった場合の懲罰と賠償制度を設立せねばならない」などと論じた上で「絶えず上を目指す匠の精神を育成せねばならない。品種を増やし、品質を向上させ、ブランドを創造せねばならない」と主張した。
中国では全人代と共に政府の諮問機関である中国人民政治協商会議(政協)も開催されている。新華社によると、政府工作報告に盛り込まれた「匠の精神」の言葉は全人代の代表(議員)や政協の委員(議員)の間で評判になり、大いに議論となった。
「匠の精神」が発達した国として日本やドイツが挙げられ、「匠の精神があってこそ、国としてのブランド価値を築くことができる」、「日本には100年以上続いた企業が3000社以上、ドイツには800社以上ある」と、「匠の精神」は安定して存続できる企業が多く出ることに関係しているとの指摘が出された。