自動車の部品交換、修理、洗車、中古車販売などを行う自動車アフターマーケット(后市場)にインターネット通販大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)や京東商城(JD)、また、自動車情報サイトの易車網(yiche.com)などインターネット企業が続々と参入し、市場が一気に拡大する見通しだ。業界では、「自動車アフターマーケット業界のフランチャイズ経営サービス規範」を設定し、アフターマーケットの育成に本腰を入れている。


 中国は世界最大の自動車市場であり、2017年の新車販売台数は約2888万台と9年連続で世界一。国内自動車の保有台数は2億台を超えている。平均車齢が5年に近づいていることから、間もなく修理・整備などの需要がピークを迎える見通し。アフターマーケットの市場規模は、年率30%以上の勢いで拡大し、2018年は1兆2862人民元(約22兆円)になる見通し。今後も20%以上の成長率で拡大し、2022年には2兆7330億人民元(約46.5兆円)に拡大すると予測されている。

 中国連鎖経営協会はアフターマーケット業界のチェーン化が進んでいないことを問題視している。
米国や日本などの先進国がチェーン化率80%を超えることに対し、中国は6%未満に過ぎないと指摘。そこで、業界ルールを自主的に策定し、フランチャイズ体系の整備、フランチャイズ権の授与、出店の計画、ビジネス範囲の規則、店舗の管理、消費者満足度の調査などの各基準を明らかにした。サービス内容に基準を設けて公表することによって、サービス水準の底上げを狙っている。

 アフターマーケットは、米国と日本では異なる。米国では、AutoZone、NAPAなど自動車メーカーに属さない独立系のサービス事業者がそれぞれ数千カ所のサービス拠点を構えて競っている。日本では、「部品共販」(トヨタ系)、ホンダ部品販売、日産部品販売、TACTI(カー用品とカーメンテナンスのジェームスを展開、トヨタ系)など自動車メーカー・ディーラー系のシェアが高い。


 中国では、4S(新車販売・アフターサービス・部品供給・メーカーへの情報提供)と呼ばれる新車ディーラーの力が強く、メーカーから技術指導を受けている優位性があることからアフターマーケットでも半分のシェアを持つほど強い競争力を持っている。そのため、サービス提供価格が高止まりしていた。多くのカーユーザーはメーカー保証期間が過ぎると、一般修理店を利用するようになる。一般の修理店はマルチブランドに対応するなど利便性の高いサービスを実施して成長しているところもあるが、技術レベルがまちまちで、消費者の信頼を勝ち得ているとは言い難い。「サービス規範」などが導入されたのは、この新車ディーラー以外のサービス体制の強化が目的。

 こうしたなか、インターネット通販国内2位の京東商城(JD)は、自動車部品調達サイト「淘汽档口」を買収し、アフターマーケット全般の業務を行うサイトへと発展させる計画を示した。
このほか電子商取引(Eコマース)最大手のアリババも「自動車自動販売機」をスタート、自動車部品の部門を強化するなど自動車関連サービスを拡充。自動車情報サイトの易車網もアフターマーケットに参入し、資金力を持つ複数の業者が市場シェアを競う状況となっている。ネット企業の参入によって、自動車部品等の価格が透明化するなど、アフターマーケット拡大の素地が急速に整ってきている。(イメージ写真提供:123RF)


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