
記事は、「日本人のシカに対する感情はとても特殊だと言える。奈良では人とシカが相睦まじく1000年もの長きにわたり暮らしてきた。そして日本文化においてシカは神聖の象徴のような位置づけにあり、その保護に力が入れられてきた」と紹介した。
そのうえで、近年日本国内では野生のシカが増えていて、人びとの悩みの種になっていると指摘。増えすぎた野生のシカが森林を食い荒らし、農作物を破壊し、さらには交通の妨げとなっており、これらにより毎年56億円程度の損失が出ているという概算もあると伝えた。そして、日本政府もついに長きにわたる「日本人の友」に対して手を下さずを得ず、2020年までに野生のシカの生息数を半分に減らす姿勢を示したとしている。
そして、シカの被害が拡大している背景として、天敵がいないことでシカの数が増え続けていることのほかに、高度な都市化が進んだ日本では農村で農業や林業に従事する人が減少しており、これによりシカやイノシシ、クマなどの野生動物が農業用地に進入しやすくなったことがあると説明した。
記事は、最後に「人類の生活範囲を拡大するために、野生動物の生活範囲を減らしてはならない。また、地球の温暖化によって動物たちの生息環境にも異変が起きてしまっている。自然に対して敬意を払い、いつの日か自然と本当に相睦まじくやっていけるようになることを望む。人間の利益のために、動物本来の自由な生活を奪ってはいけないのだ」と論じた。