三輪そうめんの生産には、約65軒の生産者による奈良県三輪素麺工業協同組合と、独自に自社そうめんを造るアウトサイダーで構成される。産地内の競争関係だが、揖保や島原など他産地に対抗するためにまとまり、2013年に三輪素麺振興会を発足。15年には乾麺業界で初めて「地理的表示保護制度(GIマーク)」を取得した。地域振興の一環で県や市、地銀の支援を受けて、これまで消費拡大イベントを開催してきたが、コロナの影響で継続が困難となり、新しいPRを模索する必要性に迫られた。
新ブランディングは、奈良県出身の映画監督・河瀨直美氏が手掛けた動画配信を主軸にスタート。桜井市はかつて大和朝廷が盛衰興亡した場所で、日本最古の三輪明神大神神社をはじめ、市内には神社仏閣や古墳が多数点在する。動画は旅する女性が史跡を巡りながら、“神様の里”で生まれた三輪そうめんに神秘的な感情を抱く様子を描いたショートストーリー。光と水を効果的に使った瑞々しい映像により、視聴者に情緒的に訴えた。