
新型コロナウイルス感染症拡大で生活者のライフスタイルが大きく変化し、自宅でレギュラーコーヒーを楽しむ機会が増えたことが背景。
キーコーヒーとしては、京都の生活者ほか全国から文化人や観光客も訪れるイノダコーヒを冠にした中容量・高価格帯の新ブランドを投入することで、キーコーヒーが強みとする中容量帯のシェア拡大と喫茶文化の継承・魅力発信を目的とする。
一方、イノダコーヒも喫茶文化の継承・魅力発信を目的にするとともに、家庭用商品が全国流通されることでイノダコーヒの認知度拡大と新たな生活者との接点を構築する狙いがある。
提携の基本合意書を交わすイノダコーヒの前田利宜社長㊧とキーコーヒーの柴田裕社長 21日発表したキーコーヒーの田中正登志マーケティング本部R&Dグループリーダーは「長い間、愛され続けている老舗喫茶店であるイノダコーヒさまと、創業から100年間、喫茶文化を陰ながら支え続け、老舗、本格、おいしい、品質がよい、喫茶店…といったイメージをもっていただいている当社が新しいコーヒーの魅力を新商品にのせてお届けする」と意欲をのぞかせる。
9月1日に発売するのは「京都イノダコーヒ オリジナルブレンド」(180g粉)と「同モカブレンド」(同)の2品。参考店頭価格は税込861円で、全国の小売店に加えてキーコーヒー直営ショップでも販売する。
2品について、イノダコーヒの前田利宜社長は「両社が協力して作り上げた新商品で、時代にうまくマッチした味作りを実現した」とコメント。
原料調達・製造・販売はキーコーヒーが一手に担う。味わいと品質を重視し、キーコーヒーの阿部祐美子マーケティング本部R&Dグループ設計第一チームリーダーは製品開発に当たり、イノダコーヒ創業者の甥の猪田彰郎氏が著した「イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由」を参考にしたことを明らかにする。
「軽くてキレがよく、それでいてイノダコーヒらしい深いコクーーそんなブレンドをお客さまにお届けしたいといった記述があり、今回はこの思いを具現化しながら伝統と進化が融合した味わいを設計した」と続ける。
「オリジナルブレンド」は、まろやかな苦みと重厚感のある奥深い味わいが特徴。「まずトップノートにダークチョコレートやナッツのようなフレーバーが感じることができ、ミドルノートからラストノートに向けては、カラメルやピーチのような甘みや、香ばしいロースト香が広がり、かなり複雑な味のブレンド設計をした」と説明する。
「モカブレンド」も奥深い味わいが特徴で、「フルーティーな味わいだけではなく、フローラルやシトラスといった爽やかなフレーバーの余韻が続く今までにないようなまったく新しいモカブレンド」と胸を張る。
基本合意の詳細は非公開で「さまざまな取り組みにおける業務提携については、今後具体的に検討していく段階」(田中氏)という。