2025年春の漬物メーカーへの取材からは、原料調達や気象リスクが業績を左右している実態が浮かび上がった。

業務用は外食産業に支えられ、家庭用は量販店への拡販で売上維持を図っている。
だが米価高騰による弁当・給食等における漬物類の削減や、原料面では異常気象の影響が顕在化し、主力品の一時休売や出荷制限、輸入原料による代替対応を迫られている企業は少なくない。多くの企業が値上げや容量変更でコスト上昇に対応し、前年を上回る実績を挙げているものの、収益構造の見直しや気象リスクへの備えは道半ばだ。

食品需給研究センターがこのほど発表した「食品製造業の生産動向」によると、4月の野菜・果物漬物生産量は6万3424t(対前年比6.7%減)だった。カテゴリー別では、キムチが1万4995t(前年比2.1%減)、浅漬1万4295t(0.2%減)、沢庵3756t(14.7%減)、福神漬5315t(3.3%減)、粕漬830t(48.3%減)、しょうが漬6535t(0.1%減)、らっきょう漬1906t(2.8%減)、梅干・梅漬2054t(2.5%減)。

減少要因として、二大カテゴリーのキムチは微減、浅漬はおおむね前年並みだったが、そのほかのマイナスが影響した。

1~4月累計は、24万4622t(6.8%減)。カテゴリー別では、キムチ6万4866t(0.7%増)、浅漬5万2586t(5.8%減)、沢庵1万3777t(16.6%減)、福神漬1万9089t(3.3%減)、粕漬3149t(34.7%減)、生姜2万1172t(5.4%減)、らっきょう9805t(6.6%減)、梅干・梅漬7585t(1.9%減)。

現代の消費ニーズにマッチする製品の需要は引き続き高い。スライスタイプは原料難および採算性の両面に対応できることから標準形態として定着が進む一方で、少量パック・アソート型の刻み漬も安定した売上を維持している。
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