カルビーポテト社、北海道産じゃがいもの安定調達へ効率化と品種改良を推進 4つの畦を一気に収穫する大型ハーベスター本格稼働
車輪の前方から掘り起こす
 カルビーポテト社は、持続可能な北海道産じゃがいも(馬鈴薯)の調達に向けては、生産現場の省人化・効率化と馬鈴薯の品種改良を推進している。

 省人化・効率化では、生産者の数が減少傾向にある一方で圃場が大型化していることを受け、昨年導入した大型ハーベスター(収穫機)を本格稼働させるなどして加速させる。


 大型ハーベスターは全国に7台あるとされる4row(フォー・ロー)と呼ばれるもの。カルビーポテト社が所有するのは4Row自走式ポテトハーベスター「VENTOR 4150」の1台。

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車輪の前方から掘り起こす 一般的な2Row(ツー・ロー)ハーベスターでは、2つの畦(うね)を同時に収穫するのに対して、4Rowハーベスターでは4つの畦を一気に収穫することが可能。これにより、一度に収穫できる量が倍になり、畑を往復する回数が半減する。

 加えて、茎葉処理と収穫を同時に行える一体型の仕組みを採用したことで、作業効率が大幅に向上。通常の収穫機では、枯れた茎や葉も一緒に掘り起こし、茎が長すぎると機械に詰まることがあり品種によっては収穫前に茎葉を刈り取る作業を必要とする。4Rowでは、その作業が不要となり、さらなる省力化を実現した。

 2Rowなどとは異なり車輪の横からではなく車輪の前方から掘り起こすため、車輪で畝を潰してしまうリスクも低減できる。

カルビーポテト社、北海道産じゃがいもの安定調達へ効率化と品種改良を推進 4つの畦を一気に収穫する大型ハーベスター本格稼働
「じゃがいも収穫式2026」でカルビーポテト社の田崎一也社長(中央)、カルビーポテト社川西支所の駒形康文支所長(左)、帯広市川西加工馬鈴薯生産組合の佐藤智史組合長(右)
「じゃがいも収穫式2026」でカルビーポテト社の田崎一也社長(中央)、カルビーポテト社川西支所の駒形康文支所長(左)、帯広市川西加工馬鈴薯生産組合の佐藤智史組合長(右) 9月1日、北海道・十勝の畑(帯広市上帯広町)で開催された「じゃがいも収穫式2026」でカルビーポテト社の田崎一也社長は「農業の世界でも長く働くことを避け、短い時間の中で生産性を上げることが絶対に必要。AIやITを含めてどんどん人手をかけずに農業ができると良いと考えることから、今後も積極的に設備投資して生産者の方にどんどん推奨していきたい」と意欲を示す。

 貯蔵施設への選別システムの導入を推進することで、ハーベスターでの選別作業を削減。効率化を目的に集団農業も推奨する。


カルビーポテト社、北海道産じゃがいもの安定調達へ効率化と品種改良を推進 4つの畦を一気に収穫する大型ハーベスター本格稼働
油で揚げたときの色の品種間差異として、油で揚げた生食用の馬鈴薯を示す五十嵐俊哉馬鈴薯事業本部馬鈴薯研究所所長。ポテトチップス用と異なり黒ずんでいる。」
油で揚げたときの色の品種間差異として、油で揚げた生食用の馬鈴薯を示す五十嵐俊哉馬鈴薯事業本部馬鈴薯研究所所長。ポテトチップス用と異なり黒ずんでいる。」 品種改良については、高温・干ばつ耐性品種や打撲耐性品種、長期貯蔵に適した品種の研究に取り組んでいる。

 高温・干ばつ耐性品種について、五十嵐俊哉馬鈴薯事業本部馬鈴薯研究所所長は「ハウスで疑似的な高温・干ばつ環境を作り、赤外線カメラで品種の評価を行い気候変動に対応した育種を継続して行っている」と説明する。

 打撲とは収穫後、作業することで増加する障害を意味する。収穫・選別・貯蔵・輸送時に物理的な衝撃や圧力による強い力で細胞が破壊され、フェノール(チロシン)が酸化酵素(チロシナーゼ)で酸化され、最終的にメラニンになり黒色に変色する。
 「大型設備を導入して生産者の方々が省力化や効率化に取り組まれる中で、打撲に強い品種の普及が必須だと考えている」という。

 長期貯蔵は、年間通じて安定的に「ポテトチップス」などの製品を供給するためのもので、毎年11月から翌年5月にかけて行われる。その際、貯蔵温度が高いほど、馬鈴薯をポテトチップスへと油で揚げたときの色合い(チップカラー)は良くなるが、馬鈴薯の芽は伸び消耗してしまう。
 一方、貯蔵温度が低いほど、芽は伸びにくくなるが糖含量が増加しチップカラーは悪くなることから、長期に貯蔵してもチップカラーが悪くならず発芽もしない品種が望まれる。

カルビーポテト社、北海道産じゃがいもの安定調達へ効率化と品種改良を推進 4つの畦を一気に収穫する大型ハーベスター本格稼働
「じゃがいも収穫式2026」当日に収穫された馬鈴薯で作られたできたてのポテトチップス
「じゃがいも収穫式2026」当日に収穫された馬鈴薯で作られたできたてのポテトチップス 植物防疫法で定める有害線虫のジャガイモシストセンチュウ(センチュウ)については、現在、日本で普及している全品種がセンチュウへの抵抗性を有している。センチュウが発生した場合、発生した圃場での種いもの生産は認められていない。北海道の中で発生地区は年々拡大し、カルビーポテト契約産地も多くの産地が発生地域となっている。


 カルビーポテトではセンチュウ抵抗性品種を2つの方法で選抜している。

 田崎社長は「品種は基本的に新しいものは全て抵抗性品種。病気をとにかく発生させない、持ち込ませないが原理原則」と力をこめる。

 政府でアメリカ産馬鈴薯の輸入解禁手続きが進められていることについては「慎重に慎重を重ねて検討していただきたい。病気が発生して畑から馬鈴薯ができなくならないようにしていただきたい」と語る。

 収穫式に協力した帯広市川西加工馬鈴薯生産組合の佐藤智史組合長も「センチュウを出さないように適正輪作体系を維持しながら生産に取り組んでおり、外国から病害虫が入ってくる恐れがあるのが一番心配」と述べる。

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