下ネタソングを歌いながら、ニッポンを憂う男たち!! どぶろっ...の画像はこちら >>

どぶろっく」の(左)森慎太郎と(右)江口直人

『農夫と神様~大きなイチモツ~』『もしかしてだけど』『きぇんたま』など、数々の下ネタソングを生み出してきたどぶろっくが、今訴えたいこととは? 笑いとエロスをメロディに乗せ、魂で歌い上げる彼らが放つ、混じりっ気なしの強烈メッセージ!

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■「混じりっ気なしの純粋なエロ」とは?

――〝むっつりスケベ〟と〝がっつりスケベ〟の自己紹介でおなじみのおふたりです。

 僕は真面目な家庭で育ったので、幼少期は〝SEXのにおい〟が身近になかったんです。テレビのバラエティ番組も志村けんさんしか見せてもらえなくて、その反動で、なんでもエロく見えちゃうようになりました。

これがむっつりの理由ですね。

江口 志村けんさんといえば、『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ)で悪代官がクワマン(桑野信義)さんを拷問するシーンがエロおもしろかったんですよね。ロウを垂らされて、「熱っ! ......あ、気持ちいい」って反応していて......。当時は幼すぎて意味がわからなかったけど、すごく印象に残っていました。

 言葉にできないエロってあるよね。幼稚園生の頃に同級生の男のコが女のコの足をくすぐる遊びをしていて。くすぐられた女のコは「キャー」って嫌がっていたけど、その割にちょっとうれしそうだった。そんな姿を見て、なぜかドキドキしたのを覚えています。あれが性の原体験ですね。

――エロの好みは人それぞれですが、世の男性たちがおふたりのネタに強く共感するのはなぜでしょう?

江口 リアルを大事にしているからですかね。例えばAVでも、汁男優が遠くから必死に手を伸ばして、女優のおっぱいを触っているシーンを見ると、「ああ、混じりっ気なしの純粋なエロだな」って感動するんです。そういうのを歌で伝えていきたくて。

 まさにリアルだよね。

江口 昨日、早朝の電車で、ドアにもたれながら白目をむいて寝ている女のコがいたんですけど、「これって、誰にも見せない無防備な表情だよな......」と思ったら、なんだか興奮しちゃって。しかも、何駅かしたら、そのコが僕の隣に座ったんで、「もしかしてだけど......」と思いました。 

――日常生活の中からネタが生まれていくわけですね。

江口 エロは昔から日常に転がっているんで。ほら、『枕草子』の書き出しって、「春はパンティライン」でしたよね?

下ネタソングを歌いながら、ニッポンを憂う男たち!! どぶろっくインタビュー「反戦を訴えたジョン・レノンのように、僕たちもエロとメッセージをうまくミックスしたい」
森慎太郎(もり・しんたろう) 1978年生まれ、佐賀県基山町出身。むっつりスケベ

森慎太郎(もり・しんたろう) 1978年生まれ、佐賀県基山町出身。むっつりスケベ

――違うと思います。

 スーツ姿の女性って、エロスをひた隠しにしている格好なのに、逆にエロくなってしまっているのがたまらないんですよね。

江口 僕たちのような人間にとって、スーツ姿の女性は一番遠い存在。縁がないから憧れてしまうんです。

 われわれは基本的に度胸なしですからね。

江口 だから、いざというときは焦ってしまう。

ゴールしか見えない〝ゴン中山〟(中山雅史)タイプなんです。でも、どんなカタチでも1点は1点ですから。

 僕は基本的に自分から積極的にいけないので、最後尾から時々ロングシュートを打つけど、まあ入らない。〝アジアの壁〟(井原正巳)と呼んでください。

■定期ライブはまるで中島みゆきの『夜会』

――意外といったら失礼ですが、どぶろっくさんは女性ファンも多いと聞きました。

 3ヵ月に1度のペースで弾き語りライブをやっているんですが、女性の割合が高いですし、上品な熟年カップルもいらっしゃいます。

江口 中島みゆきさんの『夜会』をイメージしていただけたら。

 しっとりとしたアンプラグドなライブですが、それでも真面目な歌ばかりやると、「下ネタが欲しい」という空気を客席から感じます。下ネタは男女関係なく好きなんでしょうね。

江口 スケベは誰の心にもある。僕たちはそれを〝スケベの種〟と呼んでいるんです。どう育て、どう歌にしようかといつも考えています。

 ワキ、うなじ、お尻。

体の部位から生まれた小さなアイデアが、歌詞やフレーズになっていくのは楽しいですよ。 

江口 『その時僕にできること』という歌もぜひ聞いてほしいですね。「おならのついでにうんこが出たらどうしますか?」と問いかけるメッセージソングです。

好きな人には、そんなときこそ笑ってほしいじゃないですか。下ネタに聞こえるかもしれないけど、真剣なラブソング。ネタ番組でも営業でも、評判がいいんですよ。

下ネタソングを歌いながら、ニッポンを憂う男たち!! どぶろっくインタビュー「反戦を訴えたジョン・レノンのように、僕たちもエロとメッセージをうまくミックスしたい」
江口直人(えぐち・なおと) 1978年生まれ、佐賀県基山町出身。がっつりスケベ

江口直人(えぐち・なおと) 1978年生まれ、佐賀県基山町出身。がっつりスケベ

――最近では『ストップ!インボイス!』という歌も話題になりました。

江口 実家の2階で彼女といい感じになったときの様子を歌にしたものです。

 〝淫ボイス〟ですね。

――どぶろっくさんお得意の下ネタの歌でありつつも、強いメッセージが込められていることにびっくりしました。江口さんは、政治的な話題をSNSで定期的に発信していますよね。

江口 政治に関する意見をSNSで流すと、「仕事がなくなるからやめたほうがいい」というDMがたまに届くんです。僕たちのことを心配してくれているんでしょうけど。

 江口と細かい意見は違いますが、大人として政治的な発信をすることは何も悪くない。僕が子供の頃にカッコいいと思っていた大人は、政治に関心を持っている姿を見せてくれていましたから。

■そうだ、選挙行こう

――江口さんが今、一番強く訴えたいメッセージはなんですか?

江口 僕は何よりも戦争が怖いんです。太平洋戦争のときって、多くの日本人は戦争が始まっていることに気づいていなかったんですって。空襲があって、初めて恐怖を感じたらしくて。そうならないために、今、どうしたらいいのかをみんなに考えてほしいです。

 『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「戦争したくない芸人」をやりたいくらいだよね。

江口 反戦を訴えたジョン・レノンって、メッセージ性はもちろん、曲も素晴らしいじゃないですか。僕たちもジョン・レノンのように、エロとメッセージをうまくミックスしたい。

 社会に不満があるんだったら、自分の手で変えられるということを知ってほしい。

僕は小学校でいじめられたけど、中学校でコミュニティが変わったら、まるで生まれ変わったような気がしたんです。

東京に来たのも、自分を変えたかったから。選挙も同じように、自分の未来を変えられるチャンスだと思うんです。

江口 積極的な政治的発言をすることに関して、嫌われてしまうのもわかります。でも、思っていることを言えないのはおかしい、とも感じているんです。

 僕たちはこう思うけど、ほかの人たちの意見はもちろん違う。いろんな意見があるのは当たり前です。

江口 僕たちが伝えたいのは、「選挙に行って、自分の思いを投票してほしい」ということ。それだけです。

下ネタソングを歌いながら、ニッポンを憂う男たち!! どぶろっくインタビュー「反戦を訴えたジョン・レノンのように、僕たちもエロとメッセージをうまくミックスしたい」

●どぶろっく弾き語りライブ 
6月28日(金)19時開演予定。チケットのお買い求めは『どぶろっく公式サポーターズクラブ』HPまで。

取材・文・撮影/キンマサタカ

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