「トレーニングは1時間以内」と決めている武井壮。シンドいことは、短時間で集中して終わらせる!とのこと
ひろゆきがゲストとディープ討論する『週刊プレイボーイ』の連載「この件について」。
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ひろゆき(以下、ひろ) 武井さんの「モチベーションを維持するコツ」ってなんですか?
武井壮(以下、武井) 「その労力を超えるリターンを準備しておくこと」かな。例えば「この山を登り切れば100万円あげる」と言われたら、ほとんどの人は登るでしょ。
ひろ ですね(笑)。
武井 だから、具体的で魅力的な目標を設定すること。例えば「この技術を磨けば、こんな人脈ができて、こんな未来が待っている」というゴールを明確にしておく。そして、ゴール後の仕事を先に仕込んでおくの。
ひろ 逆に言うと、仕込んでおいた仕事や目標に間に合わせるために努力するってことですね。
武井 そう。俺の場合、去年のゴルフのプロテストがいい例だよね。「ティーチングプロの資格を取る」と宣言して「資格を取得してシニアツアーに出場する」ということを仕込んでおいたの。すると、絶対にテストに合格しないといけない状態になる。
ひろ つまり「成功したらこんなに素晴らしいことが待っている。失敗したらこんなに大変なことになる」というアメとムチの両方を用意していると。
武井 そのとおり。で、「失敗したらカッコ悪い」という不安が、また逆にモチベーションになる。すると1日1、2時間程度の努力なら余裕で頑張れる気がしてくるんだよ。ひろゆきはどうなの?
ひろ 僕はモチベーションのコントロールが苦手で、興味があることしかやらないタイプですね。
武井 でも、ひろゆきのSNSを見てると、瞬間的にモチベーションを上げて調べたりしてるように見えるけどね。例えば、ひろゆきはニュースに辛口のコメントをつけてリポストしてるじゃん。そのときは話題になってるニュースをきちんと調べて、頭の中で整理して、俯瞰しながら「だとしたらここが問題だよね」と指摘している。そういうモチベーションは高いんじゃないの?
ひろ 確かに、「これをやりたい」とか「これを調べたい」という瞬間的な興味には集中力を発揮できるんです。でも、毎日コツコツと何かを続けるのは苦手です。
武井 それは俺も一緒だなー。世間的には365日毎日コツコツと努力を重ねているイメージがあるかもしれないけど、やらないときはやらない。必要なものだけを集中的にやるという感じかな。
ひろ トレーニングはどうしてるんですか?
武井 「トレーニングは1時間以内に終える」と決めてる。シンドいことは短時間で集中して終わらせる。あと、思い立ったらすぐに練習できるように家の中のあちこちにトレーニング器具を置いている。机から手の届く場所にゴルフクラブやバーベルがある。エアロバイクも隅に置いてる。
ひろ なるほど。やりたいと思ったときにすぐできるように環境を整えているわけですね。
武井 そのときにできないと興味が冷めちゃうんだよ。後回しにすると、どんどんやらなくなっちゃう。
ひろ 僕は何かに興味が湧いたらすぐ調べられるようにスマホよりパソコンを使うようにしているんですよ。パソコンは画面が大きいので、たくさんページが開けます。そうやってすぐに調べ物がしやすい環境をつくっています。
武井 俺も長期的なモチベーションを維持するのは苦手。陸上の十種競技だって、日本一を獲ったら五輪を目指さずにやめている。ゴルフもアメリカ留学までしたのに日本に帰ってきてやめちゃった。短期間でギュッと力を伸ばして使えるものにしたら、次のことを始めるタイプなんだよね。
ひろ 結局、人はモチベーションが上がる瞬間があって、その瞬間にすぐ行動できる環境を整えておくことが大事ってことですよね。そこに行動する人としない人の差があるのかなと思います。
武井 だよね。
ひろ なので、僕はわざとスケジュールを詰めないんですよ。それは「何かやりたい」と思ったときにすぐできるようにしておきたいからなんです。忙しいとやりたいと思っても後回しになっちゃって、時間ができた頃には興味もなくなってしまいますから。
武井 本当にそう。興味を持った瞬間にやることが大事。だから、うちのリビングには日本刀のレプリカも置いてある。こうすれば、思い立ったときに刀の振り方の練習ができるから。
ひろ リビングにゴルフクラブやバーベル、日本刀があるって、不審者の部屋ですよ(笑)。もし泥棒が入っても、この部屋の住人はヤバいヤツだと思って、何も取らずに逃げるんじゃないですか。
武井 そうかも(笑)。ほかにもいろんなものが置いてあるよ。
ひろ 武井さんの部屋に入った泥棒はすぐに逃げ出すでしょうし、もし警察が入ってきたら、明らかに怪しい人物の部屋だと思われそうですね。
武井 何かの法律に引っかかんのかな?(笑)。あと、スケボーも置いてあるし、ピアノもいつでも弾けるようにしてある。
ひろ ここまでくると相当危ない人に思えますよ(笑)。
武井 俺はスポーツだけでなく、芸術や音楽にも興味があって「いいな」と思ったらとにかく試してみたくなるタイプなんだよ。で、そうして得た能力が自分の中でストックされていく。だから、例えば映画の撮影現場で急に特殊な動きを要求されても、「あ、それやったことあります」って監督の要望に応えられることが多くなる。
ひろ モチベーションでいうと、世の中には語学を勉強する人が多いじゃないですか。でも、続かない人もたくさんいますよね。そういう人にオススメなのはスマホの言語設定を変えること。僕は言語設定を日本語にしたことがないんですよ。
武井 それ、めっちゃいいね!
ひろ ネットフリックスで日本の作品を見るときも、フランス語の字幕にしています。日本語を話していても、字幕を見ることで無意識のうちに「この表現はフランス語でこう言うんだ」という情報が入ってくるじゃないですか。
武井 そうやって自然に言語を学んでるんだ。しかも「よしやるぞ!」みたいな高いモチベーションがいらないからいいよね。
ひろ 結局、モチベーションを高く保つには、興味が湧いたらすぐに取りかかれるようにしたり、自然と触れる機会を増やすみたいな仕組み化が大事なんでしょうね。「1日2時間、語学を勉強する」とか決めても、なかなか続かないですから。
武井 だよね。練習したいものを目のつくところに置いたりするのはマジでオススメ。
ひろ ただし、読者の皆さんは、ほかの人に見られても怪しまれない程度にしておきましょう(笑)。
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■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA)
元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など
■武井 壮(So TAKEI)
1973年5月6日生まれ。東京都出身。タレント、元陸上十種競技日本チャンピオン。格闘技、野球、ゴルフなど様々なスポーツの経験を持つ。公式Webサイトは【https://gogotakei.com】、公式Xは【@sosotakei】
構成/加藤純平(ミドルマン) 撮影/五十嵐和博 ヘア&メイク/奥野誠