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人気が再燃しているローファー

過熱したハイテクスニーカーブームが終わりを告げる中、ローファー人気が再燃している。かつてスニーカー流行を牽引したNIKEは、今年の3~5月決算では4四半期連続の減収減益を発表し、まさかのローファー型スニーカーを発売。

大手セレクトショップでもローファーが人気だ。

「ローファーなんて久しく履いていないし、ファッションを考えるのも面倒」なんて無視を決め込むのはもったいない。実は週プレ世代の強い味方になる可能性を秘めているのだ。

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■世界的なローファーブーム再燃

ローファーの人気が再燃している。マイケル・ジャクソンも愛したローファーの代名詞的ブランド「G.H.BASS」の別注モデルを各大手セレクトショップが販売するほか、「HARUTA」のような日本の老舗ブランドも再び脚光を浴びている。

メンズファッション誌の『2nd』6月号でも「ローファー時代、到来」という特集を掲載。トレンドに敏感な人々にとって、旬の靴はスニーカーではなくローファーであるというのは、新常識になっているようだ。

ハイテクスニーカーブーム終焉で、ついにNIKEやNew Balanceまで......!? "ファッションめんどい勢"こそ令和の新型ローファー旋風に乗れ!!
作家、ファッションインフルエンサーのMB氏

作家、ファッションインフルエンサーのMB氏

メンズファッションに精通する作家・MB氏が解説する。

「数年前までメンズの靴といえば、NIKEのエアマックスのようなハイテクスニーカーがトレンドでした。しかし、今やローファーがその地位に収まりつつあります」

そのきっかけとは?

「私が人気の到来を予感したのは、ディオールの2024年春夏メンズコレクションです。ディオールはモードを代表する高級ブランドですが、当時、キム・ジョーンズという日本の裏原系ファッションに影響を受けたデザイナーがコレクションを担当していたこともあり、23年以前はNIKEとのコラボなど、ハイテクスニーカーブームど真ん中のシューズを発表していました。

しかし、24年のコレクションではハイテクスニーカーではなくローファーが前面に押し出されました。モード界の潮流は世界のトレンドに影響を与えます。

以降は他ブランドもこの流れに乗り、世界中で空前のローファーブームを巻き起こしています」

特に世界的なローファー人気の象徴とも言えるのがローファー型スニーカー、通称〝スノーファー〟の登場だ。

これはローファーデザインのアッパーに、スニーカーのソールを合わせたハイブリッドシューズ。

昨年1月にコム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マンが発表したNew Balanceとのコラボモデルも話題となり、服好きや若者の支持を瞬く間に集めた。続けとばかりにNIKEやCONVERSEなどのスニーカーブランドも〝スノーファー〟を続々リリース。

例えば、NIKEが6月に発売した「エアマックス フェノメナ」は、女性向けモデルながら大型サイズの展開もあったため、男性からも注文が殺到。スニーカーショップ「atmos」では即日完売するほどの人気に。中古市場では定価以上の価格で取引されている。

ハイテクスニーカーブーム終焉で、ついにNIKEやNew Balanceまで......!? "ファッションめんどい勢"こそ令和の新型ローファー旋風に乗れ!!
NIKEが今年6月に発売したローファー型スニーカー「エアマックス フェノメナ」。メルカリなどでは未使用・中古を問わず定価の2万130円を超える値段で取引されている

NIKEが今年6月に発売したローファー型スニーカー「エアマックス フェノメナ」。メルカリなどでは未使用・中古を問わず定価の2万130円を超える値段で取引されている

今後も各ブランドからローファー型スニーカーのリリースが予告されており、かつてハイテクスニーカーが占めた地位を奪わんばかりの勢いだ。

■〝クラシック〟への回帰

しかし、なぜハイテクスニーカーの人気は下降したのか。MB氏は、「希少性の問題」だと指摘。

「ファッションの価値は本来、『みんなが持っていないものが欲しい』という希少性にあります。

要するにハイテクスニーカーは街中にあふれすぎて飽きられてしまったのです」

実際、ハイテクスニーカー人気を牽引してきたNIKEは、25年3~5月期の決算で4四半期連続の減収減益を発表。昨年から今年にかけて2度にわたる人員整理も決定。他社の人気スニーカーも、かつてのような熾烈な争奪戦は見られなくなった。

一方、adidasの「サンバ」やオニツカタイガーの「MEXICO66」など、シンプルでクラシックなモデルの人気が復活。スニーカーブランドがローファー型スニーカーを相次いで手がけるのは、足元に落ち着いたデザインを求めるトレンドと、目新しさを求めるファッション好きの嗜好が合致した結果でもある。MB氏が続ける。

「新たなトレンドは現状の流行へのカウンターとして始まります。スニーカー人気が行きすぎれば、次は正反対、つまり革靴へと反発する。しかし、急に革靴にいくのは変化が激しすぎるので、まずは中間......つまりスニーカーと革靴の間が求められます。その流れに合致したのがスノーファーやローファーなんです」

果たして大人世代もこのブームに乗ってよいのか?

「今回のブームはトレンドが移行する際の過渡期。何年も続くとは思えません。はやりだからと目新しいモデルに挑戦するのはリスクが高い。

もし購入を迷うのであれば、それこそ革のローファーがオススメです。ブームが去っても履き続けられますから」

とはいえ、ファッションに興味が薄い男性にとって、ローファーは女性や学生向けといったイメージだが......。

「そんなことはありません。むしろ、ローファーは大人の男性なら一足は持っておくべきアイテム。そもそもフォーマルとカジュアルの中間に位置する靴なので、基本的にどんな服装にもハマる。今はやりのワイドパンツでも違和感はありません。いうなれば、服について考えるのが面倒な人ほど買うべきアイテムです」

選ぶ際のポイントは?

「フォルムです。爪先が丸いと子供っぽい印象になるので、適度に細めのものを選んでください。最初はGUで十分です。4000円弱の手頃な価格ながら本革で、シルエットもスマート。日常用に買ってみて、ローファーが自分に合うと感じたら思い切って10万円近い高級ブランドに踏み込むのがオススメです」

ハイテクスニーカーブーム終焉で、ついにNIKEやNew Balanceまで......!? "ファッションめんどい勢"こそ令和の新型ローファー旋風に乗れ!!
GUで3990円で販売されている「レザーフラットシューズ」。「ソールが薄く、スマートなシルエットで子供っぽい印象にもならない」(MB氏)

GUで3990円で販売されている「レザーフラットシューズ」。「ソールが薄く、スマートなシルエットで子供っぽい印象にもならない」(MB氏)

一度履いたら病みつきになるかも?

●MB(エムビー) 
作家、ファッションインフルエンサー。

"誰もが理解できるオシャレの教科書"『KnowerMag』を運営。年間の服飾費は2000万円を超える自他共に認める"服バカ"。『服を着るならこんなふうに』(KADOKAWA)など関連書籍は累計200万部突破。

取材・文/小山田裕哉 撮影/渡邉りお

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