『週プレ』復活シリーズ、JC『キン肉マン』57巻をおぎぬまXがレビュー!!
正義超人軍と悪魔超人軍、そして完璧(パーフェクト)超人一派による三つ巴の争いが描かれる「完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)編」もいよいよクライマックスを迎えます。今巻では、キン肉マンVSネメシスの試合前の一幕を中心に語っていきます!
●キン肉マン第57巻
レビュー投稿者名 おぎぬまX
★★★★★ 星5つ中の5
甲子園球場でのキン肉マン対ネメシスの一戦は、委員長の提案で宇宙超人委員会が運営を任されることになりました。
委員長からの命令で、甲子園球場のある兵庫県の温泉地・有馬温泉に設置された施設で一泊
普通の漫画なら、決戦前夜の主人公が闘志を燃やすシーンが描かれるはずですが、この漫画は『キン肉マン』です。キン肉マンはいつものヘタレ精神が出てしまい、あろうことかウォーズマンに試合を代わってくれないかと言い出しました...。
このキン肉マンのヘタレ設定は、少年漫画...それもガチガチのバトル漫画の主人公としては相当珍しいのではないでしょうか。同世代である昭和のバトル漫画では硬派であったり、わんぱくな主人公が多く登場しますが、試合前に泣き言を言うようなキャラはまず見たことがありません。
もちろん、これには本作がギャグ漫画から始まっているという背景があると思いますが...それでも、超人オリンピック編からバトル漫画に路線変更をし、キン肉星王位争奪編を経た現在のキン肉マンは、読者的にはすでに〝宇宙最強の超人〟という格付けがされているはず。それなのに、キン肉マンのヘタレ癖はなぜ今も直らないのか?
私見ですが、やはり『キン肉マン』はバトル漫画である前に、プロレス漫画、格闘技漫画であるからではないでしょうか。およそ、すべてのレスラーが試合前に「明日自分が死ぬかもしれない」と覚悟を決めてリングに向かうように、キン肉マンも現実の試合で被る負傷や死の危険に常に怯(おび)えています。それはきっと、キャリアを積んで解決できることではないのでしょう。
強いヤツと闘えることにワクワクする主人公がいる一方で、キン肉マンは試合前に必ず弱音を吐露します。そんな超人でありながら至って常人な主人公が、いかにして恐怖に打ち勝ってリングへと向かうのか...この巻に収録された第173話のサブタイトルは「闘うこととの闘い!!」とありますが、まさにこの作品の一貫してぶれないテーマを表していると思います。
ウォーズマンの助言もあり、一旦は肉体回復装置に入るキン肉マン。
ファイティングコンピューターと恐れられたウォーズマンの意外な告白!誰だって試合は怖いのだ
一方、対戦相手のネメシスですが、彼は自身の勝利を確信しているのか試合に対する怖れは微塵も感じられません。その代わりに、肉体回復装置の中で静かに自問自答していました。ロビンマスク、ラーメンマンと名だたる強豪超人を倒したというのに、シルバーマンはなぜ自分ではなく、キン肉マンを後継者と認めたのか? そして、兄・タツノリが残した「慈悲の心」という言葉について思いをはせるのでした。
正義超人から完璧超人となったことで、感情を捨てたネメシス。兄が残した言葉が脳裏をよぎる...
【ついに姿を現した、あの完璧超人!】
さて、場面は再びキン肉マンに戻ります。ウォーズマンの説得で大人しく肉体回復装置に入ったものの、どうやら完全に覚悟を決めたわけではなかったようです。刻一刻と迫る試合の恐怖に耐えられなくなったのか、肉体回復装置を飛び出すと風呂敷を背負って敵前逃亡をはかりました。いや本当に...主人公が夜逃げする漫画なんて『キン肉マン』くらいですよ(笑)。しかも、一度、仲間に説得されたのに、その仲間が寝ているスキに逃げてますからね。
一目散に逃走するキン肉マンを、「どこへ行く気だ」と何者かが呼び止めます。暗い森の中から現れたのは、完璧超人・ネプチューンマンでした。その隣には、病院から脱走したピークア・ブーもいます。
ですが、皆の期待とは裏腹に、キン肉マンにはネメシスのような怪物を相手に好勝負をするビジョンが全く見えないようです。超人閻魔(えんま)、シルバーマン、そしてネプチューンマンと、数々の超人が自分を過大評価していることに、キン肉マンは困惑し、最後は「みんな私に騙されている! 私はこの宇宙で一番のサギ師みたいなもんじゃぁぁ!!」と泣き出してしまいました。
自分の実力に自信がもてないキン肉マン。ここまで自己肯定感が低いマッチョも珍しい
正義超人なら根気強くキン肉マンを説得したのかもしれませんが、相手はネプチューンマンです。いつまでも試合の意思を見せないキン肉マンに失望すると、「ならば今すぐここで死ね」と殺意のこもった喧嘩(クォーラル)ボンバーを仕掛けました。
まさか、「いいえ」を選んだら殺される選択肢だったとは思わなかったキン肉マンは、とっさに火事場のクソ力を発動して、喧嘩ボンバーを受け止めます。完全にファイターの目つきとなったキン肉マンを見て、ネプチューンマンは満足げな笑みを浮かべました。荒療治ではありますが、どんなに嫌がっていても、キン肉マンの心はリングに向かっていることを彼は見抜いていたのです。
全身にみなぎる闘志を感じながらキン肉マンは、颯爽(さっそう)と立ち去るネプチューンマンに「ありがとう」と礼を言います。こうして、キン肉マンは「闘うこととの闘い」に勝利したのです。
火事場のクソ力でネプチューンマンの攻撃を止めたキン肉マン。このことで闘志を感じたネプチューンマンは静かに去っていく...
そして迎えた決戦当日。甲子園球場の控室内で改めて気を引き締める両陣営の一幕は、この後に行なわれる死闘を予感させます。敵陣営では、ストロング・ザ・武道がネメシスを激励するシーンが描かれますが、いつもの血走った目ではなく、武道が珍しく戸惑った様子を見せる瞬間がありました。ここまでの闘いで散った多くの同志たちのためにも、ネメシスは必ずキン肉マンに勝利することを誓います。
試合前のネメシスに対し、自問自答のような問いかけを発した武道。ネメシスの返答を受けて、再び血走った目に戻る
やがて、リングインの時間が訪れます。キン肉マンが控室から廊下を渡り、リングに行くまでの〝間〟が最高にカッコいいんですよ...! 最初は緊張と戸惑いを帯びた表情をしていたキン肉マンが、入口に近づくにつれて鋭い目つきとなり、遠くから割れんばかりの歓声が届く...。新シリーズでは、各試合が突発的かつ連続で展開されることが多かったのですが、キン肉マン対ネメシスの一戦はこれまでとは対極的に、徹底して試合までの流れを丁寧に描いていますね!
また、超人オリンピック・ファイナリストであるキューブマンやチエの輪マン、キングコブラも応援に駆けつけてくれました。どんなに時が経過しようと、たとえ超人レスリングがインフレしようと、彼らは今も超人オリンピック優勝を競い合ったライバルなんです。懐かしすぎる面々の登場に胸が熱くなります...!
決戦のリングへと向かうキン肉マン陣営。死地に赴く闘士の背中は神々しい...!
【甲子園に高らかに鳴り響く、運命のゴング!】
いよいよキン肉マンとネメシス...キン肉族の命運をかけた一戦が始まりました! 注目したいのは第177話の最終ページ、高らかにゴングが鳴る瞬間でしょう。
序盤の試合展開も、かなり渋い! ロックアップからの力比べ、関節の取り合いなど、クラシカルな技の応酬が続き、片手クラッチを片足でこじ開け、背後に回ってフルネルソンからのドラゴンスープレックス...といった一連の流れ・攻防が、凄まじく丁寧に描かれます。なんでもありの超人レスリングだからこそ、地に足の着いた純粋なレスリング描写が際立ちますね...!
ゆでたまご先生お得意のジャパニーズ・レッグロールクラッチ。カッコよさと渋さを兼ね備えたテクニカルな技!
両者の均衡は早々と崩れ始めます。打撃の応酬になると、キン肉マンが押され、パワーの差を見せつけられます。肉のカーテンでガードを固めても破られ、こちらが反撃をしてもパーフェクトディフェンダーで防がれてしまうので打つ手がありません。ここにきて、キン肉マンは同族対決のやりにくさを痛感します。かつてあった王位争奪戦でも、キン肉マンは様々なキン肉星出身者と対決しましたが、各々のファイトスタイルには明確な違いがありました。
それと比べるとネメシスは、正真正銘のキン肉族の一員であり、ファイトスタイルも共通点が多く...いや、完全にキン肉マンの上位互換と言えるでしょう。劣勢のキン肉マンは、キン肉族由来ではない48の殺人技・超人絞殺刑で対抗しますが、ネメシスからは殺傷能力のない欠陥品と罵(ののし)られ、軽々と攻略されてしまいます。
それから手本を見せるように、ネメシスは殺傷能力の高い技のフルコースを繰り出します。キン肉マンは額が割れて顔面が血まみれになりながらも、逆転を狙ったキン肉バスターの態勢に入りました。ミートくんいわく、過去最高のフォームでかかったキン肉バスターでしたが、ネメシスはそう簡単に大技を決めさせてくれません。すぐさま立ち位置を切り替えると、なんと相手の両手を両足でフックさせた新手の変形キン肉バスター、ペルフェクシオンバスターで反撃に転じました...!!
完璧に極まったキン肉バスターを、さらにホールド部分を加えて返したネメシス。キン肉マンの命運やいかに...!?
序盤から必殺技(フェイバリット)のキン肉バスターを返されるキン肉マン。パワー、スピード、テクニックのすべてにおいて上位互換のネメシスに勝ち目があるのでしょうか!? 両者の闘いはまだまだ続きます! 気になる続きは、第58巻のレビューをお待ちください!!
●こんな見どころにも注目!
『キン肉マン』という漫画は超人レスリングがメインなので、作中の9割はリングの中での死闘が描かれています。それ故に、リングの外で過ごす超人の何気ない描写が非常に貴重なんですよね。なので、今回は貴重な「カワイイポイント」をふたつ挙げさせていただければと。
ひとつは、ウォーズマンとミートくんが寝ているシーンです。ウォーズマンの膝を枕にして寝ているミートくんの姿がカワイイ(笑)。現在では主人公・キン肉マンを支える名セコンドとして活躍している彼ですが、登場当初のマスコットキャラ的な可愛さも健在です。スースーと寝息を立てて寝ているミートくんを起こさないために、身動きできなくなったウォーズマンも微笑ましいですね。
もうひとつは、ネプチューンマンに同行してきたピークア・ブーです。ネプチューンマンが、キン肉マンに敵前逃亡を図ろうとしたのか問い詰めるシーンで、彼は「ええっ!そ...そうなのか!?」と純粋に驚いてるのが、なんだかカワイイんですよね(笑)。ジェロニモもいまや立派な超人に成長しましたし、新たな後輩ポジとして活躍してほしいです!
●おぎぬまX(OGINUMA X)
1988年生まれ、東京都町田市出身。漫画家、小説家。2019年第91回赤塚賞にて同賞29年ぶりとなる最高賞「入選」を獲得。21年『ジャンプSQ.』2月号より『謎尾解美の爆裂推理!!』を連載。小説家としての顔も持ち、『地下芸人』(集英社)が好評発売中。『キン肉マン』に関しては超人募集への応募超人が採用(JC67巻収録第263話)された経験も持つ筋金入りのファン。原作者として参加している『笑うネメシス―貴方だけの復讐―』が『漫画アクション』(双葉社)にて連載中。ミステリ小説シリーズ『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』、『キン肉マン 悪魔超人熱海旅行殺人事件』が好評発売中
構成/石綿 寛(樹想社) 撮影/中里 楓 ©ゆでたまご/集英社

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