忘年会や新年会が続く年末年始、いい気分で飲んでいたものの、降りる駅を寝過ごして着いた先は見知らぬ土地。周囲には漫画喫茶もホテルも見当たらず、おまけに飲み代に使ったせいでお金もない……。
そんなとき、真剣に“野宿”を検討するハメになる。

しかし、季節は真冬。とてもじゃないが、コート一枚では乗り切れそうにない。そこで考えられるのが、ホームレスの人たちも実行しているテクニックだ。

街を歩けば簡単に手に入る段ボールや古新聞を使って実際に保温してみると、予想以上に暖かいことがわかる。コンクリートの上に寝る場合は、段ボールを一枚敷くだけで、冷気がかなり防げる。
上下を開いた段ボール箱の内部の隙間に丸めた新聞紙を押し込むと、気温6度以下でも寒さを感じない。スゴいぞ、段ボール!

さらに、登山家(アルピニスト)たちの知恵も役立つ。冬山で遭難したとき、彼らは肌を寄せ合い互いの体温で凍死を防ぐが、野宿ではそんな相手はいない。だが、冷えた体を優しく温めてくれるイヌやネコならば、きっと見つかるはずだ。天然の毛皮を身にまとった彼らの温かさは、一度覚えるとヤミツキになるといわれる。

ただし、野外にいるイヌ、ネコには注意が必要。
日本で狂犬病は根絶状態だが、ノミ、ダニをうつされる可能性は高い。くれぐれも、最終手段程度に考えておくといいだろう。

生死の分かれ目は普段からの野宿経験にも左右される。『野宿入門』(草思社)の著者で、16歳から野宿を楽しんでいるというスペシャリスト、かとうちあきさんが語る。

「普段から自室に寝袋を常備しておき、野宿に慣れていれば、何があっても大丈夫です。いざとなれば野宿がある。
なんとかなるさ~という気楽な感じです(笑)」

かとうさんによると、寝袋に慣れ、野宿を重ねれば重ねるほど、苦痛や苦労は減って快適になるとのこと。

「楽しいですよ~。同じ野宿するのでも、アスファルトの上とコンクリートの上、木の葉の上では寒さや快適さが全然違うんです。コンクリートは……寒いからイヤですよね~(笑)」

事前に試してみるなら、冬はハードルが高いので、初心者は春以降にデビューすることをオススメする。

(文・撮影/近兼拓史)

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