この中島アナ、どういう人物かといえば、テレビのバラエティ番組への出演が決まるや否や、誰よりも目立とうと突然髪を真っピンクに染めて某大物芸人のイジり心を鷲づかみにしたり、なりふり構わず仕事を求めて小社のスポーツ総合雑誌『スポルティーバ』の忘年会に単身乗り込み、初対面の編集長と直談判した末に公式サイト『web Sportiva』上の短期集中連載を自ら勝ち取ったりと、所属事務所のマネージャーも手を焼くほどのなかなかに破天荒な逸材。
東京マラソンを自己ベストで完走したその足で、今度は『週刊プレイボーイ』編集部に殴り込みをかけてきたトンデモ娘のトンデモ手記を、ここに独占公開したい。
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エントリー数が28万3988人と、約10倍の確率の抽選となった東京マラソン2013。マラソンブームは衰えることなく拡大中。ランニング人口が全国で1000万人を超えたというニュースまであるのです!
そして、そのマラソンブームを追いかけるのが、いや、引っ張るのが、“マラソンタレント”の存在です! 芸能界屈指の健脚自慢たちが、全国各地のマラソン大会に参加し、このブームを牽引しています。
東海テレビ時代にはマラソン番組のキャスターを務めた私。タレントランナーとしてのキャリアはまだ1年目ですが、今回、東京マラソンという大舞台にチャリティランナーとして初参加することができました。
そんな私が、東京マラソンで見たもの。それは芸能人生を懸け、力の限り走る、たくましいマラソンタレントの姿でした。日本最大の市民マラソンである東京マラソンは「マラソンタレントとしてのパフォーマンス」を披露する格好のひのき舞台だったのです!
今大会には、元五輪選手から女子アナまで約20人の芸能人が出走しました。(ちなみに、東京マラソンにはタレントとしての特別枠はないので、彼らは等しく一般の方と同じようにエントリーをし、抽選によって選ばれたランナーなのです!)
大会の朝。私は会場で待ち疲れないよう、スタート地点には1時間前に到着しました。すぐに、顔見知りの芸人ランナーさんを発見。
そうなんです。スタート前のこの時間こそ、各媒体へのアピールのチャンス! 走っている最中は、さすがに取材や撮影を受けるのは難しいですからね。
スタート前、一般ランナーがストレッチする横で、忙しそうに取材対応するタレントランナーたち。 スタート前の時点で取材を受けることができると、大会中のインターネットニュースとなり、マラソンファンの目に留まるのです。
■そして、出走!
10kmの日比谷交差点を過ぎ、東京タワーが見えた辺りで、赤いTシャツをきた“あの方”が、復路を走り抜けていきました。そうです。マラソンタレントの草分け的な存在、猫ひろしさんを忘れてはなりません! 私と同じように往路を走っていたランナーたちも「猫だ! 猫がいる! がんばれー!」と、猫さんの存在を認識していました。トレードマークのあの赤いTシャツを着ているので、遠くからでも目立つのです。「服装を毎回統一する」というのも、マラソンタレントにとって重要なんですね! キャップをかぶり、サングラスをかけてしまうと誰が誰やらわからないけど、いつも同じであれば皆さん覚えてくれますよね!
続いて、21km付近。ちょうど中間点の銀座です。
目立つ彼らは当然マスコミにも取り上げられます。
そして、足もくたくたになる29km地点。スカイツリーが見える浅草です。復路を走る私は、少し遅れて往路を走っている某モデルランナーを発見。沿道側で、観戦者とハイタッチしながら走っています。
さらに、ラスト6kmの佃大橋の地点には、ある俳優ランナーのファンが駆けつけていました。沿道の観客のなかに、彼の名前が書かれたメッセージボードが揺れています。東京マラソンに参加した3万6000人は、必ずそれを見ます。ひょっとしたら、テレビにも映るかもしれません。なるほど、こういうPR方法もあるのですね!
ちなみに私はといえば、ウェアの背中に「走るフリーアナウンサー中島彩」とキャッチコピーを縫いつけてPR。追い抜かすランナーや沿道の観客が見てくれるに違いないと、背中に賭けました。結果、「なんの番組出てるの?」と声をかけられることも! 一定の効果はあったようです!
■いよいよ、ゴール!
呼吸も調わないなか、フィニッシュゲートの付近で待機するカメラマンを探し、完走をアピール! その際、記者からは「自己ベストを達成したか?」と必ずきかれます。達成したランナーは、その喜びをここぞとばかり語ります。達成できなかったランナーは、次の大会での目標を語ります。しゃべって、走って、また笑って、走って、しゃべって……、お疲れ様です!
東京マラソンの注目度は、日本の市民マラソンでは一番。この大会で、日々のトレーニングの成果を出し、ファンを拡大し、あわよくば何か次の仕事につなげたい! という、必死で貪欲なタレントランナーたち。あの手この手で大会を盛り上げます。
ランナーとして結果を出すのはもちろんのこと、タレントとしてのパフォーマンスを忘れない、タレントランナーたちの熱いマラソン魂。1年目の私は、この東京マラソン2013で何よりその存在を学びました。私、中島彩も“走るフリーアナウンサー”として輝くべく、本業もランニングも頑張らねばと気持ちを新たにしたのでした。
(文/中島彩、撮影/喜安)