“アイドル黄金時代”と呼ばれたこの時期、300人余りのアイドルやアーティストを世に送り出した“伝説のプロデューサー”酒井政利(さかい・まさとし)氏が、80年代アイドルの魅力を語る!
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私のプロデュースの原点となっているのは南沙織さんです。1970年頃は、辺見マリさんや奥村チヨさんといった“アダルトな歌手”が人気を集めていました。そこで私は逆にターゲットを若い中高生に絞って、「アイドル作戦」を展開しようって。その第一号が彼女だったんです。
ちなみに当時はアイドルという言葉は一般的ではなく、「青春スター」や「青春歌手」といった言葉が使われていました。だから日本のアイドル第一号は南沙織さんなんです。
デビュー曲のタイトルを『17才』にしたのは、中高生たちの世代的な共感を狙ったからです。その狙いは的中し、大ヒットとなりました。
山口百恵さんも思い出深い歌手のひとりです。和風の整った顔立ちをしており、少し“影”があるところもよかった。しかし、デビュー曲はライバルの桜田淳子さんや森昌子さんを意識しすぎたせいもあり、思った以上にセールスは伸びませんでした。
そこで、2作目から路線を変更して、過激な言葉でテーマをドーンと投げてみようって。それが、『青い果実』でした。結果的にこれが大成功。ただ、歌詞の過激さで話題になった分、「女子中学生にこういう歌を歌わせていいのか」という反発もかなりありましたけどね。