そのため、自民党は県連が擁立した候補者を蹴って、民主、公明、社民との相乗り候補を選んだ。佐藤雄平知事の後継者、内堀雅雄前副知事(50歳)である。
そして、その対抗馬として最も注目を集めるのが前・双葉町長の井戸川克隆(いどがわ・かつたか)氏(68歳)。今年4月、マンガ『美味しんぼ』のなかで、「福島には鼻血や疲労感を訴える人がたくさんいる」などと発言、この内容に対して福島県や石原伸晃環境相(当時)が風評被害への懸念を示すなど、過剰ともいえるバッシングと物議が引き起こされ、自身も風変わりな人とのレッテルを貼られてしまった人物だ。
その井戸川氏は原発事故以降、国の原発政策に一貫して異を唱えている。今回、知事に立候補して何をしようとしているのかを直撃してみた。
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―いつから、県知事選への出馬を考えていたのですか。
井戸川 町長を辞めてすぐですね。立候補の理由をひと言でいえば、原発事故以降、県民があまりにもないがしろにされ続けているからです。
―というと?
井戸川 国も県も、県民に本当のことを話していない。文部科学省が2011年に測定した表面汚染密度をベースに、知り合いが汚染地図を作りました。福島県内のほとんどが放射線管理区域(実効線量が3ヵ月当たり1.3ミリシーベルトを超える恐れのある場所、原子炉建屋などがこれに該当する)に相当します。なのに、安全だから住み続けろと県は言う。人口が減ると税収が減るとでも思っているのかもしれませんが、そのために県民の健康を犠牲にしているのです。