
―ゼロ戦を初めて見たのはいつですか?
原田 昭和16(1941)年の9月に航空母艦・蒼龍(そうりゅう)へ着任しました。航空隊は大分県の佐伯に基地があって、ここで初めてゼロ戦に搭乗しました。
―初めて乗った感想は?
原田 基地には20機くらい並んでいて、見た目だけでもいい飛行機だなと思いましたよ。乗ったら、それまで乗っていた九六式艦上戦闘機とは別物。スピードは出るし、視界はいいし、しかも10時間以上飛べる。そして何より攻撃力がすごい。20mmの機関砲を2門も装備しているから、どの国の戦闘機にも負けないと思いましたよ。
―蒼龍に配属ということは、真珠湾攻撃のあった昭和16年の12月8日は現地に?
原田 それ以前の11月22日、択捉(えとろふ)島の単冠湾(ひとかっぷわん)に蒼龍をはじめとする航空母艦6隻が集結しました。「これは大きなケンカが始まる」と士気が高まりましたね。
―真珠湾ではどんな任務に?
原田 艦隊の直掩(ちょくえん)でした。飛行隊長から「おまえは蒼龍で一番のベテランだから、艦隊を守ってくれ!」と。せっかくここまで来たのに、華々しい戦闘に参加できなくて悔しかったですよ。