
これまで会長は、数人の幹部が推薦した候補を理事会が承認、評議員が追認する形で決められていた。いわば“密室”選挙で、選考基準も過程も不透明だった。
ところが、FIFA(国際サッカー連盟)からそのやり方に問題があるとの指摘を受け、公開の選挙で会長を決める仕組みが導入されたわけだ。
選挙はJリーグ各クラブや各都道府県協会などの代表が務める評議員75人によって投票が行なわれる。こうしたトップ人事のオープンな選考は国内のスポーツ統括団体では初めてだそうだ。歓迎すべき変化なのは間違いない。
ただ、本稿締め切り時点で立候補しているのは、原博実(ひろみ)専務理事(57歳)と田嶋幸三(たしまこうぞう)副会長兼FIFA理事(58歳)のふたりだけ。ともに日本代表を統括する技術委員長を経験しているけど、ある意味、現職の大仁邦彌(だいにくにや)会長の“次”に向けて“順番待ち”していた人たちだけに立候補は予想通り。新鮮味やインパクトに欠ける。
「何かが変わるかも」という期待感を持ちにくい。せっかく公開の選挙をやるのだから、投票権のないファンに向けても、ふたりでサッカー番組に出演してマニフェストを発表するとかすればいいのに、そうした発想もないようだ。そこはちょっと残念だね。
また、もっとフレッシュな人物にもチャレンジしてほしかった。結果的に落選となっても、これまでの協会の在り方に一石を投じられるはず。さすがに今回は無理だとしても、将来的にはヒデ(中田英寿)や澤(穂希・ほまれ)のような若い人が出てくれると面白くなる。