マックニール そうですね。僕自身はイルカやクジラを特別だとは考えません。イルカやクジラは高度な知性を持っているから保護すべきと言うのなら、犬や豚だってアタマはいい。また、『ザ・コーヴ』で描かれたイルカの追い込み漁が「残酷」だという批判もありますが、牛や豚の屠畜(とちく)だって、室内で行なわれているだけで動物を殺すことには変わりはありません。それなら、ガチョウに無理やりエサを流し込んで太らせるフォアグラの生産なんて残酷の極みですよ。
もちろん、種として絶滅の危機があるのなら話は別で、そうした生物を保護するべきだというのは当然ですが、少なくとも一部の反捕鯨派がクジラやイルカを「賢いから」という理由で特別視する主張は合理的ではないと思います。
一方で、捕鯨国である日本の問題は「本当に遠洋捕鯨は必要か」という議論をきちんと行なわずに保護政策を取り続けていることです。政府が遠洋捕鯨の保護に毎年、数十億円もの補助を行ない、IWCで日本の立場に理解を広めるためとしてODAの形で多額の資金を拠出し続けていることを国民の多くは知りません。しかし、長年、そうやって多額の資金を拠出し続けているにもかかわらず、IWCでの日本の立場は一向に改善されず、今も孤立したまま…。これでは税金のムダ使いです。