そんななかで行なわれたのが、昨夏のコパ・アメリカ(南米選手権)100周年記念大会だった。この大会の決勝で涙をのんだメッシが、突然の代表引退を宣言。タタ・マルティーノ代表監督も辞任したが、その背景には腐敗したAFAに対する不満があったともいわれている。AFAの説得でメッシの引退はなんとか撤回にこぎ着けたが、一方で新監督は正常化委員会が指名したエドガルド・バウサ氏に決定。しかし、W杯予選での不振は続き、チームの悪い流れは変わらなかった。

ようやくAFA新会長が決まったのは今年の3月29日。グロンドーナ氏の死後、初めて選挙で選ばれた新会長にはクラウディオ・タピア氏が就任したが、選挙前に幹部らによる話し合いが行なわれ、それぞれが重要ポストに座るという“権力の分配”が行なわれたことが、“公正な選挙結果”を生んだとされている。

さらに、正常化委員会が選んだバウサ監督の契約を無効とした新幹部は、新たにホルヘ・サンパオリ氏を招聘(しょうへい)。名将サンパオリ新監督もすぐにチームを立て直せずにW杯予選で3試合連続ドローを演じたが、最終節でのメッシのハットトリックに救われ、なんとか本大会行きの切符を手にしたというわけである。

そんな背景もあり、ロシア行きを決めたアルゼンチンの先行きはまだ不透明。今年の春にはリーグからの分配金遅延問題により、選手が国内リーグのストライキを決行するなど、資金不足問題も解決できていない。AFA新体制が襟を正せるかどうかが、今後の行方を左右しそうだ。

(取材・文/中山 淳 写真/ゲッティ イメージズ)

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