ネットでの商品の売買は、今やビジネスに不可欠になった。
一般消費者に製品を売っている企業では、ネット通販が収益の柱になっていることも多々あるだろう。
通販ビジネスはこの先5年ほどで売上規模が6兆円以上増えるとされる拡大市場。特に、ネット通販はコストがさほどかからず、始めるのも簡単ということから中小の小売業を中心に参入が増え続けているが、手を出せば必ず儲かるといったものではない。現に、自社でネット通販のサイトを立ち上げたものの、なかなか軌道に乗らないという企業は多いのではないか。
『【小さな会社】 ネット通販 億超えのルール』(西村公児著、すばる舎刊)によると、ネット通販で成功するには「儲かる仕組み」が必要だ。ここではその仕組みづくりのヒントをいくつか紹介しよう。
■「やめたら損をする」状態を作る通販ビジネスはいかに顧客をリピーター化させるかに尽きるが、商品の魅力で「ファン」を増やすだけがその方法ではない。
自社の通販サイトを利用しつづけることが顧客にとって「得」となり、利用しないことが損になる仕組みがあれば、ファンは増えなくてもリピートは増える。
■やめる理由をなくす積極的に支持していなくても、「やめる理由」さえなければ人は案外これまでの行動を踏襲してしまうもの。
その意味では、顧客が自社サイトの利用をやめる理由を徹底的に潰した方がいい。通販サイト構築は、「顧客に愛されるように」というよりも「嫌われないように」が基本なのだ。
■ドライテストは必須本書によると、一人の顧客が年に3回以上リピートし、合計1万8000円以上購入してくれないと通販ビジネスは成立しないという。あらたに通販ビジネスを立ち上げる時や、新商品を発売する時は、この指標をクリアするかどうか(ビジネスとして成立するかどうか)を、ドライテストで確かめてから本格的にスタートさせるのが鉄則だ。
SNSやメルマガはビジネスの広告・販促ツールとしてなくてはならないものになっているが、販促活動はパンフレットやガイドブックといった「紙媒体」から始めるのが正解。
一般的に、紙媒体の方が販促コンテンツを深いところまで作りこめるためネットへの転用は容易だが、ネット向けのコンテンツを紙に転用すると情報として薄く見えやすい。結果的に紙用にコンテンツを作り直すことになり、二度手間になってしまう。
■パソコンは捨ててもスマホに最適化せよもはやネットはパソコンではなくスマホの時代。数年前までは、一つのサイトデザインでパソコンにもスマホにも対応できるデザイン方式が流行だったが、今はパソコンからの閲覧の利便性は多少犠牲にしてでもスマホ閲覧の利便性を追及するのが正解だという。
パソコンと違い、スマホは下にスクロールするしかないので、サイトの設計はシンプルになり、小さな会社でも作りやすく、改善もしやすいのがメリットだ。
◇
本書では、ここで挙げた通販サイトの仕組みをつくる上でのポイントだけでなく、成功のためにもっとも重要な「コンセプト」の設定や、シェアを取るための隙間の見つけ方など、実戦的なアドバイスが並ぶ。
「2年後に売上1億円」は難しくないと説く本書。これからネット通販に参入する会社は「やるべきこと」を把握するために、参入したもののうまくいかないという会社は「やってはいけないこと」をやっていないかチェックするために、参考にしてみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部)