自分を産んで育ててくれた人ということで、母親は誰にとっても大切な存在です。とはいえ、全てを許すことはできないのが親子関係の難しいところ。

 「兄弟姉妹であからさまなエコひいきがある」、「小言が多すぎる」など、母の言動が「どうしても許せない」という人は案外多いのです。
 『母と娘の「しんどい関係」を見直す本』(石原加受子/著、学研パブリッシング/刊)は、そんな親子関係、特に母と娘の関係に注目した一冊。心理カウンセラーの視点から、不和の原因と改善策を教えてくれます。

■「どうせ無理なんだからやめなさい」娘の夢に水を差す母
 たとえば、「○○大学に入りたい」、「将来は○○になりたい」など、何かにチャレンジする意欲を見せているのに、母から「どうせ無理なんだからやめておきなさい」と頭ごなしに言われたらどうでしょう。
 「せっかく目標ができたのに冷や水を浴びせるなんて!」と人によっては激しい怒りを感じるはず。でも、残念なことに母というのは娘に対してこういうことを言ってしまいがちなのです。

 もちろん、根本にあるのは親として娘を心配する気持ちでしょう。年長者の目から見て、娘の夢が到底実現できそうにないと思えたからこそ、「やめておきなさい」と忠告したのかもしれません。その意味では、親として正しいことをしたとも言えます。

■母が娘の行動に「ダメ出し」する理由
 しかし、それだけではありません。
 娘が家に友達を呼ぶのもダメ、一緒に遊びに行くのもダメ、と娘のやることなすことにいちいち「ダメ出し」をする母もいます。こうなると、いくら親心から言っているとわかっていても、娘はたまったものではありません。

 否定され続けた娘は、次第に自分の意思を持つこと自体に罪悪感を覚えるようになり、自主的に行動を起こせなくない人間になってしまいます。これはいうまでもなく、娘の人生にとって大きなマイナスになるばかりか、将来自分の子どもにも同じ対応をしてしまうことも考えられます。つまり、自主性のない人間を作る子育てが代々受け継がれてしまう可能性があるわけです。これは恐ろしいことです。
 本書によると、母が娘の行動を否定し続けるのは、かつて自分も親から同じ扱いを受けたことが原因にあるといいます。だとすると、もしかすると母もかつては親に否定され続けて育ったのかもしれません。

 それをわかったうえで、互いが相手の意見を受け止めつつ、自分の意見を言うことを心がけることが、関係改善には大切になります。

 こじれてしまった母娘関係も、本書を読めばその関係を少しずつでもいい方向に向かわせるための対策がきっと見つかるはず。もうすぐ母の日ということで、これを機会にお母さんとの関係を見直してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)