
ある日、主人公・版画家の森真希はダンプと衝突する交通事故に遭う。そして気がつくと自宅の座椅子に座っていた。時刻は3時15分。目が覚めた真希の世界には誰もおらず、そしてどんな1日を過ごしても次の日の3時14分59秒がくると1日前の3時35分の座椅子に戻ってしまう。おかしな世界に紛れ込んでしまった真希だがとまどいながらも繰り返される毎日を過ごし、151日目に突然、電話が鳴る。それは現実の世界からの電話だった・・・。
第118回直木賞候補にもなり、『スキップ』『ターン』『リセット』の時と人の3部作の2作目となる本書。北村薫氏は「鷺と雪」で第141回直木賞を受賞した。
「君」と真希に呼びかける二人称で話が始まり、全体的にゆっくりと進む物語、不思議なストーリーと心地のよい雰囲気を持った小説だ。
(新刊JP編集部:田中規裕)
◆『ターン』
著者:北村薫
出版社:新潮社
定価(税込み):620円
発売中