昨季は横浜F・マリノスが勝点70でJ1を制した。一昨年を見ても、優勝した川崎フロンターレの勝点は69である。勝点70に目標を設定するということはすなわち、柏は紛れもなくJ1優勝を狙っている。
昨季1年間の戦いを通じて確固たるベースができ上がった。
オルンガ、クリスティアーノという強烈な二枚看板に加え、圧倒的なボール奪取能力を有するヒシャルジソン、元U-20ブラジル代表の経歴を持つクリエイティブなMFマテウス・サヴィオなど外国籍選手が注目を集めるが、攻撃に絶妙なアクセントを加える江坂任や、昨季は左サイドハーフとして新境地を切り開き、“J2優勝陰のMVP”と評される瀬川祐輔などタレントは豊富だ。
今季はそこに実力派の新戦力を加えた。
「各ポジションに少なくとも2人以上のレギュラークラスをそろえている。チーム内の競争は、強いチームを作るためには必要な要素」(ネルシーニョ監督)
誰もポジションが確約されておらず、昨年の主力選手でも気を緩めればすぐにメンバーから外されてしまう。毎週、熾烈な争いが繰り広げられ、その競争に勝ち抜いた者だけが、試合に出場できる権利を与えられる。熾烈な競争と、チームマネジメントに長けた名将の手腕があれば、チーム力の飛躍的な向上も十分期待できるだろう。
柏のスローガンはポルトガル語で『勝利』を意味する“VITORIA”だ。
【KEY PLAYER】FW 14 オルンガ
昨季のJ2では、ケニア代表と並行して戦うタイトな日程を強いられながらも、出場30試合で27得点を記録するハイアベレージを残した。193センチの長身で、屈強なフィジカルと抜群のスピード、柔軟な足下のテクニックを兼備する。さらに左利きらしく独特のセンスを持ち合わせているストライカーだ。
柏に加入したのは2018年8月。
ピッチ上では対戦相手に脅威を与えるストライカーだが、ピッチを離れれば心優しき青年に様変わり。大学でエンジニアの資格を取得した経歴があるように非常に博識で、彼の発する言葉の一つひとつから知性が感じられる。
文=鈴木潤