国際サッカー連盟(FIFA)は、2021年から代理人に関する新たなルールを設けるようだ。5日、イギリスメディア『BBC』が報じた。


 FIFAは2015年、代理人の公認資格制度を撤廃するなどの規程を改定。この結果、各国のサッカー協会に登録さえすれば、誰でも移籍交渉や契約延長といった仲介業を営むことができていた。だが、FIFAは“規制緩和”が「間違いだった」と認め、代理人に対する規制強化へと動くことになる。

 今回の改定案には、新たにいくつかの制度が盛り込まれている。まずは再び「ライセンス制度」を設け、この際の「性格診断」も導入される模様だ。また、「ライセンスを所持していない限り、選手の家族が移籍取引で選手の代理人を務めることを禁じる」ルールも導入されるという。
選手の家族が代理人を務めている有名どころとしては、パリ・サンジェルマン(PSG)に所属するアルゼンチン代表FWマウロ・イカルディのワンダ・ナラ夫人などが挙げられる。

 新ルールでは、「代理人が受け取る手数料に上限を設定」し、「移籍時に代理人が選手やクラブから受け取った手数料をFIFAが公開する」ことにもなる。選手の代理人を務める場合は、「給与の3%」が上限。買い手のクラブを代理する場合も、選手の「給与の3%」が上限。選手と買い手クラブの両方を代理する場合は「6%」が上限となる。一方、売り手クラブの代理人を務める場合は、「移籍金の10%」が上限となる。


 また、新規則では「選手と買い手の両方を代理する」場合を除き、代理人は同じ移籍取引で複数の顧客を担当できなくなる。「選手と買い手と売り手の3者を代理」や「選手と売り手の2者を代理」することが禁じられるようだ。例えば、2016年夏にユヴェントスからマンチェスター・Uへ移籍したフランス代表ポール・ポグバのケースでは、ミノ・ライオラ氏が3者の代理人を務めていたが、新ルールの元ではこのような移籍が起こり得なくなる。

 ほかにも、「代理人の契約は2年間有効。代理人は契約が残り2カ月を切るまで、(契約延長などの)アプローチを選手にすることはできない」や「選手のエージェンシーの株式を所有するクラブや各国協会の役員らの利益相反を禁止する」、「クライアントから代理人への手数料支払いは、クリアリングハウス(精算機関)を通して行われる」などのルールも改定案に盛り込まれている。

 2019年の移籍市場では、世界全体でおよそ5億ポンド(現レートで約680億円)が代理人の手数料に費やされたという。
FIFAのディレクターを務めるジェームズ・キッチング氏は、現状にメスを入れる新規則の狙いについて次のように説明している。

「『手数料の上限は10%』と言えば確かに少なく聞こえるかもしれませんが、例えば2000万ポンド(約27億円)の10%なら話は別です。私たちは、市場における価値観や活動方針を変える必要があります。私たちが『やり過ぎ』だと主張する悪習の多くは、説明しているような手数料の支払いに由来している。私たちは、基本的なサービス基準を導入しようと試みているのです」

「多くの代理人が無意識に悪しき慣習を主導しているとまでは言いませんが、クライアントに代わって行動する代理人には、クライアントの最善の利益のために行動する受託者としての責任があります。時には、巨額のお金が、代理人が依頼人の最善の利益のために行動しない原因となる場合があります」

 新ルール案は今後、各代理人に通達され、2021年の春までフィードバックを受け付けることになる。
さらに同年3月から6月にかけてFIFAの評議会で審議され、9月からの発効を目指すことになる。