本人は自身のドリブルが川崎のスタイルの中でのプレーだと強調したが、鋭い戦術眼や駆け引きのタイミングはどんな環境にいても出せるはず。横浜FM戦の小林悠の3点目につながった70m超のロングドリブルなどを見れば三笘の非凡さがよく分かる。あれだけの高度なインテリジェンスとテクニックが凝縮されたプレーは滅多に見られないもの。11月の日本代表2連戦から帰国した森保監督もその一挙手一投足を見れば「ぜひ代表に呼びたい」と熱望するに違いない。
18日のメキシコ戦(グラーツ)で露呈した通り、今の日本代表は深刻な決定力不足にあえいでいる。フィニッシュの問題のみならず、屈強な相手に対してドリブルで突破できる選手が伊東純也しかいないのも問題だ。左で途中から起用された久保建英もまだまだ物足りなさを感じさせた。そういう状況だけに「今は三笘の方が久保より脅威ではないか」という声も関係者の間で上がっているほどだ。
「自分は今まで森保さんに何度か呼ばれましたけど、アジア大会にしても、トゥーロンにしてもあまり活躍できませんでした。うまい選手たちとどうやって波長を合わせながら、生かし生かされる関係を作るかが大事だと思います」と本人は五輪代表、A代表入りへの課題を口にしていたが、川崎でのルーキーイヤーの高度な経験値を積み重ねたことで、以前よりも自信と余裕を持ったプレーができるはず。今の彼ならば、海外組と共演しても、引けを取らないフィニッシュとドリブルを示せるに違いない。
そんなふうに大舞台でゴールという結果を残す三笘を早く見たいところだが、まずは川崎で優勝の原動力となり、左サイドの絶対的レギュラーになることが先決だ。彼自身が弱点だと言うハードワークやスプリント能力にさならる磨きをかけ、タフで逞しいアタッカーへと変貌すべく、シーズン終盤戦でもブレイクを続けてほしい。
文=元川悦子
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