AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は大陸選手権大会の一つで、アジアのクラブチームにとっては最も権威のある大会だ。1967年に発祥したアジアクラブ選手権から発展し、2002年より現行の形式がスタート。
続く2004年、2005年大会はアル・イテハド(サウジアラビア)が連覇を果たし、中東優勢の状態が続いたが、2006年に全北現代モータース(韓国)が頂点に立ったのを境に、東アジア勢が勢力を強めた。2007年には浦和レッズ、翌年にはガンバ大阪と日本勢が連覇を達成。莫大な資金力で大型補強を繰り返す広州恒大(中国)は2013年、2015年大会を制した。日本勢は2017年、2018年にも浦和、鹿島アントラーズによって2年連続のアジア制覇を果たしており、浦和は2019年大会も決勝まで勝ち上がって準優勝の成績を収めている。
日本勢は過去5回決勝に進出し、そのうち4回タイトルを手にしているが、「ACL」という大会の価値に対する認識が変わったのは、2007年の浦和の初優勝がきっかけだった。
しかし2007年の浦和は、前年のJリーグと天皇杯で国内2冠を達成しており、田中マルクス闘莉王、鈴木啓太、長谷部誠、阿部勇樹、ワシントンなど充実の戦力をそろえ、他国クラブのリサーチなども含めてアジア制覇への本気度をうかがわせた。セパハン(イラン)との決勝戦に2戦合計3-1のスコアで勝利した浦和は、同年のFIFAクラブワールドカップで3位入賞を果たし、Jクラブ勢の視野を世界へと広げる大きな役目を果たした。
国内でのタイトル獲得数で他を寄せつけない鹿島が、初めてアジア王者の称号を手にしたのは2018年のこと。同クラブにとっては国内大会と合わせてクラブ通算20冠目のタイトルだった。
今大会は開催期間中に前代未聞の事態が発生
ACLの歴史を紐解くと、最多優勝クラブはアジアクラブ選手権時代を含めて1997年、1998年、2009年大会を制した浦項スティーラースと、1991年、2000年、2019年大会を制したアル・ヒラル(サウジアラビア)だ。昨年の大会は、ともに3度目のアジアチャンピオンを目指すアル・ヒラルと浦和が決勝で激突。2戦合計3-0でアル・ヒラルに軍配が上がり、浦和は苦杯をなめた。
大会得点王は、Jクラブ勢ではこれまで2006年にG大阪のマグノ・アウベス(8得点)、2009年に同じくG大阪のレアンドロ(10得点)が獲得している。また、一大会における最多得点は13得点で、2013年にムリキ(広州恒大)、2016年にアドリアーノ(FCソウル/韓国)、2018年にバグダード・ブーンジャー(アル・サッド/カタール)が記録している。過去の大会最優秀選手には、2007年・永井雄一郎(浦和)、2008年・遠藤保仁(G大阪)、2017年・柏木陽介(浦和)、2018年・鈴木優磨(鹿島)と4人の日本人選手が名を連ねている。
第18回を迎えた今シーズンは、開幕直後から新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、第1回大会以上の苦難に見舞われている。第2節までを消化しているグループステージはカタールでの集中開催に切り替えられ、Jリーグからは横浜F・マリノス、FC東京、ヴィッセル神戸の3クラブが11月24日から12月19日にかけ、厳戒態勢のなかでアジアの頂点を目指す。
3クラブはすでに現地入りしているが、油断ならない状況が続いている。
なお、西地区はペルセポリスの決勝進出がすでに決まっており、東地区のグループステージおよびノックアウトステージを勝ち抜いたチームとの決勝戦が12月19日に予定されている。Jクラブ勢にとって2年ぶりの奪還なるか。
文=平柳麻衣