ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにあるスタジアム『エスタジオ・ジョルナリスタ・ド・マリオ・フィーニョ(通称『マラカナン』)』が、“王様”ペレ氏の名前を冠した新しい名称に変更されることになりそうだ。10日、イギリスメディア『スカイスポーツ』などが報じた。


『マラカナン』を保有するリオ・デ・ジャネイロ州議会は、9日にスタジアムの正式名称を『エスタジオ・エジソン・アランチス・ド・ナシメント-ヘイ・ペレ(Estádio Edson Arantes do Nascimento - Rei Pelé)』に変更することを決議。「エジソン・アランチス・ド・ナシメント」はペレ氏のフルネームであり、「ヘイ(Rei)」はポルトガル語で「王」を意味する。プロジェクトの担当者は、「ブラジルサッカー界に残した遺産と、それに伴う我が国への貢献により、世界的に認められている人物にふさわしい敬意を表します」と述べている。

 なお、サッカースタジアムの名称は変更されるが、スタジアム周辺の大規模なスポーツ複合施設は現在の名称を維持するという。また、スタジアムの正式な名称変更にはリオ・デ・ジャネイロ州知事の承認が必要となる。

 現在80歳のペレ氏はブラジル代表の歴代最多得点記録「77」を保有する伝説の選手。
1969年にはサントスの一員としてヴァスコ・ダ・ガマと対戦し、『マラカナン』でキャリア通算1000ゴール目を決めた。1971年には『マラカナン』で同氏の代表引退試合が行われている。

 聖地『マラカナン』はジャーナリストのマリオ・フィーリョ氏の働きがけによって建設が進められ、1948年にオープン。現在の正式名称は、フィーリョ氏にちなんで名付けられた。同スタジアムでは1950年と2014年のFIFAワールドカップで決勝戦が行われ、2016年のオリンピックでは開会式が行われた。ちなみに、『マラカナン』の愛称はスタジアム周辺の地域名から取られている。


 ただ『スカイスポーツ』などによると、ペレ氏の名前が正式名称となることについて、現地では賛否両論だという。ペレ氏はミナスジェライス州に生まれ、生涯の大半をサンパウロ州で過ごしており、リオ・デ・ジャネイロと縁が深い人物とは言い難い。そのため、「フィーリョ氏の方がふさわしい」という意見や、「リオ出身の偉人の名前を付けるべきだ」との意見が挙がっているようだ。