FIFAワールドカップ26(W杯)まで早いものであと2年。森保一監督率いる日本代表はすでにアジア2次予選を突破。
9月からスタートする最終予選に向けて、チーム底上げを図らなければならない。

 6月のミャンマー・シリア2連戦で指揮官が遠藤航や冨安健洋ら主力級を揃って招集したのも、「ここでチームを固めておかなければ、最終予選序盤3戦で2敗という大苦戦を強いられた2022年カタールW杯の時の二の舞になりかねない」という懸念があるから。

「あまり代表活動の間が空くと、全く別チームのようになってしまいかねない」と森保監督も語っていた。伊東純也、三笘薫の両エースを招集できていない今、できることは全てやっておきたいというのが、偽らざる本音ではないか。

 そこで注目されるのが、第2次森保ジャパンで攻撃の中核と位置づけられている久保建英だ。1月のAFCアジアカップは鎌田大地が不在だったこともあり、彼がトップ下、あるいは攻撃的なインサイドハーフで重要視された。
今回、鎌田が復帰したものの、今のところは久保の序列の方が上のはず。レアル・ソシエダのように右ワイドで起用される可能性も考えられるが、久保に日本の攻めをリードしてもらう必要があるのは間違いない。

 その久保は先月29日、レアル・ソシエダの一員として東京・国立競技場で東京ヴェルディと親善試合を行い、後半3分までピッチに立った。久保が2019年に日本代表入りして以降、2022年6月のブラジル戦、2023年3月のウルグアイ戦、今年に入ってからのタイ戦、北朝鮮戦と4度も国際試合があったのだが、驚くべきことに彼は一度も出番を得られず、ここまで来ていたという。

「なんだかんだ代表では国立で出たことがなかったので、とりあえず出られてよかったっていうのが一番です」と本人も試合後、安堵感をのぞかせた。時間限定のプレーの中でも高いスキルを駆使した局面打開や2人目・3人目の連携連動を生かしたプレーなどで、「スペインで異彩を放った久保建英」の一端を示せたのもポジティブだったと言える。


 そして次は6月3日からの代表活動突入ということになるが、少し不安視されるのは、右太もも裏の違和感。「ケガする前に交代したんで、ケガはしてないです」と本人はキッパリ言ったものの、シーズン中から抱えている箇所だけに気になるところだ。

 今季の久保は公式戦通算7ゴール・5アシストという上々の成績を残している。しかしながら、スペイン国内公式戦に加え、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)、代表活動と超過密日程が続き、肉体的な負担がかつてないほど大きかった。それが4月以降のコンディション低下につながり、シーズン終盤は試合に出たり出なかったりになってしまったのだ。

「今季はスタートダッシュはよかったですけど、途中でいろいろあって躓いてしまった。
自分の100%を出せない時期があったので、連戦といえども、つねに100%を出せるようにペース配分をすることが大事だと感じました。それとケガをしないで終わることも重要。小さいけがをなくしていくのが一番だし、それが来季に向けた課題かなと感じました」と本人も改めて反省の弁を口にしていた。

 6月4日には23歳の誕生日を迎えるだけに、もう若手とは言えない。つねにいい状態をキープし、クラブと代表でフル稼働できるタフさを養っておかないと、森保監督も久保を大黒柱に指名することはできなくなってしまいかねない。

 第2次森保ジャパン発足後は三笘、冨安がそういった状態に陥っているだけに、久保は遠藤航や堂安律のような強靭な肉体を築き上げ、高いレベルのプレーをコンスタントに出せるようになることが本当に重要なのだ。


 6月6日のミャンマー戦をその大きな一歩にしたいところ。実はこのヤンゴンは2019年9月に久保がW杯予選デビューを果たした場所。

「試合に出れたことはよかったと思いますし、特に予選だからっていうのは何もなかったですけど、とりあえず出れてよかったかなという感じですね」と当時の久保は中島翔哉と交代して10分プレーした後に淡々と語っていた。

 あれから5年以上に月日が経過し、代表では34試合出場4ゴールと着実に実績を積み重ねているものの、本人も認めているように得点数が少ない。「自分が点を取らなくてもチームとして取れればいい」という考えが根強いせいか、そこまで貪欲にゴールを奪いにいこうとしていないようにも見受けられるが、やはりサッカーの世界は得点が一番。それは彼自身がスペインで痛感していることに他ならない。


 だからこそ、ここからはコンスタントに結果を残し、2年後の2度目のW杯では「ここ一番でチームを勝たせる得点を取れる選手」に大化けしていてほしいもの。今回のミャンマー戦をぜひそういう舞台にしてほしいものである。

 いずれにしても、20代半ばになる久保はもっともっと存在感を高めるべき。日本中の多くの人々がそれを願っている。その大きな期待に彼がどう応えるのか。まずは6月シリーズの一挙手一投足を見極めたい。


取材・文=元川悦子