レッドブルは9日、ユルゲン・クロップ氏がグローバルサッカー部門の責任者に就任したことを発表した。

 公式発表によると、クロップ氏はレッドブルの傘下にあるサッカークラブの国際ネットワークを統括しつつ、戦略的ビジョンを提供し、レッドブルの哲学を推進する個々のスポーツディレクターのサポートにあたるという。
また、各クラブの日常業務には関与しないが、組織のグローバルスカウト活動をサポートし、コーチ陣のトレーニングと育成にも携わるようだ。なお、2025年1月中旬には記者会見が開かれる予定となっている。

 ドイツメディア『スカイスポーツ』が報じたところによると、クロップ氏とレッドブルは長期契約を締結しており、2025年1月よりグローバル・サッカー部門の責任者としての仕事を開始するようだ。また、契約には将来的な退任オプションも付随している模様で、ユリアン・ナーゲルスマン監督の後任としてドイツ代表の指揮官に就任する選択肢も確保されていると報じられている。

 オーストリア・ザルツブルクに本社を構えるレッドブル・ゲーエムベーハー(Red Bull GmbH/以下レッドブル)は、主にエナジードリンク事業で知られる企業。近年は、飲料製品の製造・販売だけでなく、F1レーシングチームやアイスホッケー、サッカークラブなど、スポーツマネジメントの運営も行なっている。

 サッカークラブの運営に本格的に参入したのは2005年。オーストリア1部のザルツブルクを買収したことを皮切りに、ガーナ、ブラジル、アメリカ、オーストリア、ドイツなどでクラブ運営を行ってきた。2024年8月に株式取得が発表された大宮アルディージャを含め、現在はライプツィヒ、ザルツブルク、ニューヨーク・レッドブルズ、レッドブル・ブラガンチーノと実質的に主に5つのクラブを運営している。

 新たにレッドブルの要職に就任したクロップ氏は現在57歳。2001年2月の現役引退と同時にマインツの監督に就任。2003-04シーズンには2.ブンデスリーガ(ドイツ2部)で3位という好成績を残し、クラブをトップリーグ昇格に導いた。
その後、2008年夏から7年間指揮したドルトムントでは、ブンデスリーガ連覇やDFBポカール優勝を達成。2015年夏にはリヴァプールの指揮官に就任し、プレミアリーグ優勝やチャンピオンズリーグ(CL)制覇を成し遂げた。昨シーズン終了後に9年間に及んだ“長期政権”に終止符を打ち、以降はフリーの身となっていた。

 就任に際し、クロップ氏は次のようなコメントを発表している。

「25年近く外から見ていたが、このようなプロジェクトに携われることにとても興奮している。役割は変わったかもしれないが、サッカーとサッカーを形作る人々に対する私の情熱は変わっていない。レッドブルに加わることで我々が持つ素晴らしいサッカーの才能を育成し、向上させ、サポートしたい。レッドブルが持つ優れた経験と知識を活用することから、他のスポーツや業界から学ぶことまで、それを実行する方法はたくさんある」

「ともにさらなる可能性を発見していきたい。私の役割は主にレッドブルのクラブのコーチ陣や経営陣のメンターだと思っているが、最終的にはユニークで革新的かつ前向きな組織の一員となることだ。これ以上に興奮することはない」
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