サンフレッチェ広島レジーナは26日、WEリーグカップ・グループステージ第5節でAC長野パルセイロ・レディースをホームに迎えて対戦した。大会連覇を目指すS広島RはグループAの2位につけて、首位の日テレ・東京ヴェルディベレーザとは勝ち点差1。
グループ突破に向けて負けられない試合で、2-1の勝利を収めて公式戦6連勝を飾った。

 メンバーを大きく変えても勝ち切った。今季から指揮を取る吉田恵監督は、リーグ戦で出場機会の少ない選手をカップ戦で積極起用。この試合は6日前のリーグ戦から7人を変更して臨んだ。DF呉屋絵理子は今季のリーグ戦で途中出場4試合のみだが、リーグカップ戦では4試合連続の先発出場。強い気持ちを持って試合に入っていた。

「今日の試合に出ているメンバーが価値を示さないといけないと思っていたし、監督も『今日必要なのは勝ち点3だけだ』と言っていたので、なんとしてでも勝って『自分たちもやれるんだ』っていうところを示そうと思って入りました」

 試合開始3分、呉屋がその思いをゴールにつなげた。左CKでキッカーのMF森宙舞が「(相手の守りが)ゾーンという分析とは違って実際はマンマークだったけど、レジーナの中の選手は強いので信じて蹴り込んだ」とゴール前のスペースを狙って蹴り込む。呉屋は厳しくマークされて想定とは違う状況だったが、そこで「自分が(マークを)剥がせれば、点が取れる」と切り替えていた。

 マークにつく相手を左右に揺さぶって背後を取り、ゴール前に飛び込んで右足で合わせて先制点。「相手のマークが厳しかったので、少しフェイントを入れて外した感じだった。宙舞からいいボールが入ってきたし、セットプレーは得意な部分だったので、いい形で(マークを)外せて、いいゴールが取れた」と振り返った。


「確実に気持ちがこもっていた」という得点を決めて、飛び上りながらのガッツポーズで喜んだ。呉屋にとっては広島に来て公式戦33試合目でプロ初得点。「(ゴール自体が)久々すぎてうれしい」と笑顔を見せ、「この試合は勝つことがすべてだったので、その勝ちにつながる1点を取れたことが1番うれしい」と胸を張った。

 立ち上がりに先手を取ったS広島Rは27分にFW髙橋美夕紀が持ち前のパンチ力を活かしたミドルシュートを突き刺して追加点。2点リードで主導権を握って試合を進めたが、39分に失点して2-1で折り返した。後半も攻勢を続けたものの、チャンスを決めきれず。試合終盤には、今までなら失点してもおかしくない危ないシーンもあったが、体を張って防いで勝ち切った。

「誰が出ても勝ち切れる」を体現する公式戦6連勝。呉屋は、「シーズンが始まる前から監督が全員でリーグも取りに行くし、カップ戦も取りに行くっていう話をしていたので、それをみんな考えているし、練習からいい競争ができていることがすべてだと思う」と話し、指揮官も「勝っているからこそ、いい競争意識が芽生えた中でトレーニングや試合ができている」と好調の理由を明かした。

 この勝利がまたチームの底上げにつながっていく。吉田監督は、「試合に選ばれた選手が結果を出すというすごくいい好循環が続いている。今日も選ばれた選手が『やってやる』という強い気持ちを持ってやってくれたことに対して本当に感謝したい。
そういう状況でいい競争をしているからこその結果だと思うし、最後までいい競争、いい循環を続けて、それを結果につなげていきたい」と話した。

 S広島Rは次戦、11月2日にWEリーグ第7節で大宮アルディージャVENTUSと対戦する。さらに、同6日にはWEリーグカップ・グループステージ最終節で日テレ・東京ヴェルディベレーザと突破をかけた直接対決。同9日にはWEリーグ第8節で昨季女王の三菱重工浦和レッズレディース戦と3連戦に臨む。呉屋は、「誰が出ても勝てるチームになってきていると思うので、まずは1戦1戦勝っていきたい」と意気込んだ。

取材・文=湊昂大
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