
ともに3試合連続無失点で迎えた一戦。12分にFC東京の日本代表GK林彰洋が、FWクリスティアーノの強烈な直接FKを横っ飛びでセーブ。相手に傾きかけた流れを、わずか3分後に中村が静かなる咆哮をあげて強引に手繰り寄せた。
ゴールまで約23メートルの位置で与えた直接FKのピンチ。左足のスペシャリスト、DF太田宏介が放った低空の一撃は味方が作った5枚の壁をぎりぎりで越えて、中村から見て左側のコースへ加速しながら落ちてきた。
「太田選手は非常に良い左足を持っていますので、チーム全体で防ごうと、しっかりスカウティングをしていた。止められる範囲に来てよかったです」
果たして、ボールが壁を越えた瞬間、右寄りにポジションを取っていた「23番」は素早く反応し、タイミングを見計らって左へダイブ。184センチ、72キロの体を一直線に伸ばし、その延長線上にある左手で弾き飛ばした。
31分には太田が左サイドからあげたアーリークロスに、味方DFの背後から死角を突くように飛び込んできた元日本代表FW前田遼一に完璧に合わせられる。頭で弾かれた一撃は目の前でワンバウンドする難しいシュートとなったが、ここでも中村は慌てない。