
FC東京には去年まで川崎フロンターレに在籍していた大久保嘉人がおり、公式戦で対戦するのは今年3度目となる。
その対戦を楽しみにしていた選手がいる。
GK新井章太だ。この試合では、チョン・ソンリョンに代わってゴールマウスを守ることが濃厚で、もし新井が先発すれば、大久保とは公式戦で初めて対戦することになる。
2013年に川崎に移籍してきた2人は、公私ともに親しい間柄として知られていた。
きっかけは、シーズン前の綾町キャンプ中にテレビで流れていた相撲中継をサウナで見ていた時の会話だというが、親交はプライベートだけではなく、ピッチ上でも密接で全体練習後、居残りでシュート練習に励み続ける大久保に付き合うのは、決まって新井だった。当時の新井はプロ4年間公式戦での出場機会はないGKだったが、大久保との練習をこんな風に軽口を叩いている。
「シュート練習は毎日やっていますね。シュート練習の後、ヨシトさんは俺にもいろいろ聞いてくれるんです。『今のこっちのコースがいいか?』とか。でももし俺が対戦相手のGKだったら、ヨシトさんには入れさせないですよ。別にそんなに大したプレーヤーじゃないのに、なんであんなに点が取れるのか不思議でしょうがないです」
Jリーグで最もゴールを決めているストライカーのシュートを、2年間、日常的に受け続けていることで、新井が自分を成長させたのは、結果に表れている。フロンターレ加入後3年目になるプロ5年目の2015年には待望のJリーグデビューを飾り、その年はレギュラーとして定着したほどだ。