
「女性に“良い背中”を見せてあげてください。そうすることで会話も弾むと思う。逆に苦しむ姿は部下や家族には見せないでください」
イベントの最後、佐々木氏から参加者たちへ贈られた言葉は、かつては自身が体現し、日本女子サッカーの一時代を作った金言だ。世間の女子サッカーに対する関心が薄い時代、堂々たる背中で引っ張り、ときにはオヤジギャグで選手を笑わせ、“チーム”を作り上げた。なでしこジャパンを率いた8年間では、2011年のW杯優勝、ロンドン五輪準優勝など、女子サッカー史に残る偉業を次々と成し遂げた。2016年のリオデジャネイロ五輪予選を最後に監督を退任したが、熱い思いが消えることはない。イベント終了後、取材に応じた佐々木氏に話を聞くと、2勝2敗の6位(出場12カ国中)で幕を閉じたアルガルベ杯も観戦したという。
「僕が指揮していたときよりも、スペースがなくて、相手のプレッシャーが強いので大変だと思います。今は海外のチームのサッカーの質が全然違う。パワーがあるし、高さがあるし、スピードもある」
一方で、「ちゃんとスライディングしていたのは阪口(夢穂)だけ。サイドハーフが身を挺して守備をやってない」と、なでしこの課題も感じたという。