「チームを勝たせることができなくなった」。そう感じて小笠原満男は現役引退を決意したという。


 1998年、大船渡高校から鹿島アントラーズに入団。以降、獲得した主要タイトルの数は17を数える。チームが25年間で積み上げた全20冠のほとんどを小笠原は掲げてきた。いつしか鹿島は「常勝軍団」と呼ばれるようになり、小笠原はその象徴としてチームを牽引し続けた。だからこそ、自らの力に限界を感じたことで、担ってきた役割を後輩たちに託すという決断に至ったのだろう。

 発表から2日経った今でも、引退を惜しむ声は後を絶たない。
その雄姿を称え、色褪せることはない21年の足跡を振り返りたい。

写真=Jリーグ、ゲッティイメージズ
※出場試合数と得点数はJリーグ、ヤマザキナビスコカップ、天皇杯、AFC・チャンピオンズリーグから算出。

1998年

7試合1得点
獲得タイトル:Jリーグ

小笠原の記念すべき1冠目はルーキーイヤーに訪れた。リーグ戦は5試合の出場に留まるも、天皇杯でプロ初ゴールをマークした。鹿島はジュビロ磐田とのチャンピオンシップに勝利し、リーグ王者を手にした。


1999年

21試合4得点
獲得タイトル:なし

2000年

38試合9得点
獲得タイトル:Jリーグ、ヤマザキナビスコカップ、天皇杯

背番号を27から「17」に変更した3年目にレギュラーに定着した。
リーグ戦では28試合、カップ戦を含め計38試合に出場。史上初となるJリーグ、ヤマザキナビスコカップ、天皇杯の国内3冠を達成した。


2001年

30試合9得点
獲得タイトル:Jリーグ

この年から背番号は「8」になった。磐田とのチャンピオンシップでは、2ndレグの延長戦にVゴールとなる直接FKを決めてリーグ連覇を達成。自身5つ目のタイトルを自らのゴールで手繰り寄せた。

2002年

35試合5得点
獲得タイトル:ヤマザキナビスコカップ

2003年

34試合11得点
獲得タイトル:なし

前年には日韓ワールドカップに出場。
迎えた2003年シーズン終盤、小笠原は秋田豊からゲームキャプテンを任された。ところが、この年から4シーズン連続でタイトルを獲得できず、チームは苦しんだ。

2004年

33試合7得点
獲得タイトル:なし

2005年

32試合11得点
獲得タイトル:なし

2006年

22試合4得点
獲得タイトル:なし

2006-07シーズン

セリエA:6試合1得点
コッパ・イタリア:2試合0得点

唯一、鹿島アントラーズを離れたのが、2006年8月からの約1年間だった。ドイツW杯終了後、セリエAのメッシーナへレンタル移籍。計8試合に出場して1ゴールを記録した。

2007年

22試合6得点
獲得タイトル:Jリーグ、天皇杯

7月にレンタル移籍が終了し鹿島に復帰。
背番号は「40」に決まった。リーグ戦ではシーズン終盤まで9連勝で最終節で首位に立ち、6年ぶりのリーグ優勝を達成。復帰1年目にしてチームにタイトルをもたらした。

2008年

33試合6得点
獲得タイトル:Jリーグ

リーグ戦で左ひざを痛め長期離脱を強いられるも、ピッチ外から選手をサポート。チームはリーグ2連覇を達成した。

2009年

45試合5得点
獲得タイトル:Jリーグ

前人未到のリーグ3連覇を達成。
小笠原はリーグMVPを獲得した。

2010年

46試合5得点
獲得タイトル:天皇杯

2011年

41試合1得点
獲得タイトル:ヤマザキナビスコカップ

2012年

42試合2得点
獲得タイトル:ヤマザキナビスコカップ

2013年

41試合2得点
獲得タイトル:なし

2014年

38試合2得点
獲得タイトル:なし

2015年

39試合1得点
獲得タイトル:ヤマザキナビスコカップ

2016年

40試合0得点
獲得タイトル:Jリーグ、天皇杯

2016年は1stステージ優勝、チャンピオンシップでは川崎フロンターレ浦和レッズを下し、7回目のJリーグ王者に輝いた。さらに、元日の天皇杯決勝でも勝利し、2冠を達成した。

2017年

26試合0得点
獲得タイトル:なし

2018年

23試合0得点
獲得タイトル:AFC・チャンピオンズリーグ

最後に掲げた優勝杯はアジアタイトルだった。今季はAFC・チャンピオンズリーグを勝ち抜き、チーム初のアジア制覇を達成。鹿島にとってはチーム20冠目となる節目のタイトルだった。


≪通算成績≫
655試合89得点

≪獲得した主要タイトル≫
Jリーグ:7回 (1998年、2000年、2001年、2007年、2008年、2009年、2016年)
ヤマザキナビスコカップ:5回 (2000年、2002年、2011年、2012年、 2015年)
天皇杯:4回 (2000年、2007年、2010年、2016年)
AFCチャンピオンズリーグ:1回(2018年)

≪個人タイトル≫
Jリーグ優秀選手賞:8回 (2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2008年、2009年、2010年)
Jリーグベストイレブン:6回 (2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2009年)
Jリーグ最優秀選手賞:1回 (2009年)
日本年間最優秀選手賞:1回 (2009年)
JリーグチャンピオンシップMVP:2回 (2000年、2001年)
ナビスコカップMVP:2回 (2002年, 2015年)
天皇杯決勝MVP:1回 (2001年)