欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長は、15日にUEFA公式サイトを通じて、人種差別問題に対する自身の見解を述べた声明文を発表した。同日、イギリスメディア『BBC』が報じた。


 14日、UEFAが主催するEURO2020予選・グループA第8節のブルガリア代表対イングランド代表の試合で、ブルガリアの一部サポーターがイングランド代表の選手たちに対して人種差別的な言動を行った。同試合は前半だけで試合が2回中断され、試合後にはブルガリアサッカー連合のボリスラフ・ミハイロフ会長が問題の責任を取る形で辞職した。

 ブルガリア代表サポーターの人種差別行為が問題となったのは今回が初めてではない。また、UEFA主催大会以外の各国リーグの試合でも人種差別行為が日常的に行われているのが現実だ。チェフェリン会長は、今だに後を絶たない人種差別行為の背景には、ヨーロッパ全体の右傾化があると主張。サッカー界だけでの解決は困難だとし、今後は各国政府機関とも連携を行って問題の解決に取り組むことを強調している。


「サッカーの関係者が、人種差別による惨劇は(第二次世界大戦下という)遠い過去の記憶だと考えていました。この数年間(の各国での人種差別問題)が、そのような考え方は楽観的だと教えてくれました。大陸全土におけるナショナリズムの台頭によって、一部の人々はサッカーの観戦が恐ろしい意見を述べるのに最適な場所だと考えるようになった」

「人種差別との戦いに対するUEFAのアプローチについて、表明されたいくつかの意見は時代遅れとなっています。UEFAはこれから、(人種差別という)“病気”をサッカーから取り除くために出来る限りのことをすると約束します。私たちはこれに満足することなく、常に決意を新たにしていかなければなりません」

「経営者から選手、コーチやファンも含めたサッカーの“家族”は、政府やNGOと協力して人種差別主義者と戦い、彼らの忌まわしい意見を社会の少数派へと追いやる必要があります。サッカー界自体がこの問題を解決することはできません。
良識と名誉の名の下、政府と協力することによってのみ、進歩を遂げることができるのです」