◆病院に行かなくても診療は受けられる
日本は平均寿命と高齢化率において、世界一の高齢化社会である。
残念ながら高齢化が進むにつれて、日常生活が制限される不健康な期間である「健康寿命と平均寿命の差」も伸びつつある。そのため人生100年時代を迎えて、医療は患者と家族の生活・価値観・死生観とより密接に関わるようになり、医療の在り方として在宅医療が急激に広まっている。
医療から、介護へ。
治す医療から、治して支える医療へ。
医療施設から、在宅へ。
「私はすべての病院がなくなることを願っています」(フローレンス・ナイチンゲール)
◆患者の9割が75歳以上、急増する訪問診療
在宅医療とは、患者の自宅を訪問して行う医療行為を指し、次の3つに大別される。
①訪問診療:定期的に医師が患者の自宅で行う診療
②往診:突発的な症状の変化に対して、緊急的に医師が患者の自宅で行う診療
③訪問看護:主治医の指示のもと、看護師が患者の自宅で行う療養上の世話と診療補助
訪問診療の件数は年々大幅に増えており(2006年:19万8166件/月、2019年:79万5316件/月)、訪問診療を受ける患者の約9割は75歳以上の高齢者である。
そのため、患者は身体的制限やコロナ禍で通院が困難な場合および、自身の症状の簡潔・的確な説明が困難な場合が多いので、医師や看護師が訪問するメリットは大きい。