月見バーガー、個性が光る。
暑い夏がまだまだ収まらない9月ではありますが、食の世界では少しずつ秋の気配が漂いはじめました。
中でも真っ先に思い浮かぶのが、中秋の名月にちなんだ「月見バーガー」。今やファーストフードチェーンはこぞって月見メニューを発売。マクドナルドの月見バーガーをイメージする方も少なくないでしょうが、結論から申し上げれば、マックだけではもったいない!他を見渡すと超個性的で、同コンセプトでここまでオリジナリティを打ち出せるケースは珍しいかもしれません。つまり客の立場からすると、楽しみが広がっているということ。

そこで今回は、現在発売中の新作・月見バーガーをずらりと実食。マックを基準にしながら、特に個性が光った2店を素直にレポートしていきたいと思います。

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マクドナルドの月見バーガーは軽かった?

「マックの月見バーガー」は「黄身」が残念。“月見感”を楽しめるのは“意外なチェーン店”
マクドナルドから発売されている月見バーガーシリーズ「月見バーガー(440円~)」と「芳醇ふわとろ月見(520円~)
まずマクドナルドの月見バーガーで確認しておきたいのが、期待と現実とのギャップ感についてです。月見バーガーは1991年から販売されているロングセラー商品であるため、すでに一度は食べた経験がある人も少なくないでしょう。改めてメニュー写真を見てみると、黄金色に輝く目玉焼きが中心に挟まり、リッチで重厚な雰囲気がたっぷり漂っています。とくに新発売の「芳醇ふわとろ月見」は、そのネーミングからの期待度はふくらむばかり……。ふわとろ感はどんなものなのでしょうか?

まずは王道の月見バーガーを実食する前に、重さを計測してみました。重量は、163グラム(筆者による計測、包み紙を含む重量)。手に持った時の実感には個人差があるものの、私は軽いなと感じました。
つまりボリューム感で勝負しているわけではないということ。そしてバーガーの中身を確認してみると、月見部分で気になることに気がつきました。

「黄身」と「バンズ」が気になってしまった

「マックの月見バーガー」は「黄身」が残念。“月見感”を楽しめるのは“意外なチェーン店”
月見バーガーの蒸し焼きたまごは、固ゆで状態。
それは、月(黄身)がはっきり美しく際立っていないということ。しっかり蒸し焼きにしたたまごは白身も黄身も固ゆで状態であり、境界線はぼんやりしています。秋の月といえば明るくきれいに見えるのが特徴で、そのイメージが期待として追い打ちをかけるとすれば、商品写真と実物とではやや解離があるかもしれません。だからと言っておいしくないというわけではありません。100%ビーフのパティ、目玉焼き、ベーコンにトマトクリーミーソースの組み合わせは、クラシカルな味わいで王道感があります。1個でガッツリ満足感を得るようなプレミアムバーガーを期待するのではなく、気軽なスナック感覚として味わうのが賢明です。

「マックの月見バーガー」は「黄身」が残念。“月見感”を楽しめるのは“意外なチェーン店”
ふわふわとろとろなのは、蒸し焼き玉子ではなくフィリングやバンズによるもの。
そしてもう一つは、新商品として登場した「芳醇ふわとろ月見」。芳醇なバターの香りとふわとろたまごの味わいが楽しめる新作で、バター風味のふわもち食感のバンズがポイントです。これは好みが分かれそうだと感じました。その理由は、ふわふわとろとろなのが、お月様ではないから。つまりふわとろなのは、周りの食材達。
スクランブルエッグフィリングやソースに強いとろみ感があり、バンズがとにかく柔らかく、蒸し焼きたまごの存在はやや軽め。これをどう評価するかは、食べる人によって違ってきて当然。重量は186グラムであり、月見バーガーよりも少々重めというレベルでした。

バーガーキングは、ゴールデンパインがポイントに

「マックの月見バーガー」は「黄身」が残念。“月見感”を楽しめるのは“意外なチェーン店”
パインツキミバーガー大:990円、小:540円
続いては、バーガーキングの「パインツキミバーガー」。たまごの代わりに輝くのは、ゴールデンパインで、みずみずしい月見の雰囲気はバッチリ出ています。この組み合わせが昨年大好評だったようで、今年は大サイズが新たに登場したほど。ここではマックと同価格の小サイズを実食。重量は150グラムで、輪切りのゴールデンパインが直火焼きの100%パティの上に乗っています。

「マックの月見バーガー」は「黄身」が残念。“月見感”を楽しめるのは“意外なチェーン店”
パイナップルと牛肉の組み合わせはアリ。ジューシーな食べ心地は玉子とは別世界。
塩気のあるお肉に甘いパイナップルの組み合わせがNOという人にはオススメできませんが、個人的には大ヒット。酢豚やピザにあるように、そもそも両者の相性には実績があります。

さらにパイン果汁からくるフルーティーなジューシー感は、たまごでは味わえない醍醐味と言えるでしょう。マックとどちらがおいしいか? ということではなく、完全に別世界のバーガーで、食べる楽しみが増えたと考える方が賢明。小サイズはあっという間に完食してしまうため大サイズのセット(1290円)にすることをおすすめします。


ずっしり食べ応えがあり、タマゴ部分がとろけるのはケンタッキー

「マックの月見バーガー」は「黄身」が残念。“月見感”を楽しめるのは“意外なチェーン店”
とろ~り月見チーズフィレバーガー(540円)、とろ~り月見和風チキンカツバーガー具沢山タルタル(590円)
1000円以内のセットで至福の満足度を味わいたい、やっぱりタマゴがとろけて欲しいと願う人に断然オススメなのが、ケンタッキー。定番バーガーであるチキンフィレバーガーに月見感を加えた「とろ~り月見チーズフィレバーガー」(540円)は、去年の好評を受けて続投。チキンフィレの厚みやチェダーチーズの組み合わせは食べ応えに直結する喜びがあります。

「マックの月見バーガー」は「黄身」が残念。“月見感”を楽しめるのは“意外なチェーン店”
ビーフパティが2ミリ程度なのに対して、チキンフィレの2センチの厚みは食べ応えに直結します。
そしてさらに衝撃のおいしさを実感したのが、今年新たに登場した「とろ~り月見和風チキンカツバーガー具沢山タルタル」(590円)。重量は233グラムで、マックの月見バーガーの1.4倍超のずっしり感があります。テリヤキソースの濃厚な味わいに加えて月見のとろける感に心を持っていかれるはず。

「マックの月見バーガー」は「黄身」が残念。“月見感”を楽しめるのは“意外なチェーン店”
実は「たまご加工品」だった
でも実はコレ、本物の半熟目玉焼きではなく、目玉焼き風オムレツというたまご加工品なんです。むしろ加工品を採用することで、確実にとろ~り感を提供できるメリットがあると解釈することができれば、卵黄ソースの偉大さを実感できるはずです。

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今年の月見バーガーは各社の個性が際立つ当たり年と言っても過言ではないでしょう。いずれも期間限定ですから、気になるものはすべて制覇してみてはいかがでしょうか!?

<TEXT/スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。
女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12。
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