13歳の年の差夫婦である、妻まりこさん(40歳)と夫こうせいさん(27歳)。「ポンコツらいす」としてYouTubeで日常を赤裸々に発信し、 登録者数は31万人を超える。

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まりこさんはバツイチで連れ子がいた。まだ20代のこうせいさんとの再婚生活は、最初から順風満帆だったわけではない。近所からの通報、行政の圧力、嫉妬、浮気……それでも二人は逃げずに向き合い続けた。その等身大の愛の記録に追った。

「養育費は払わない」でもシングルマザーへ

「妻は40歳、夫は27歳」13歳の“年の差婚”で経験した波乱万丈。近所からの通報、嫉妬、浮気…辿り着いた「本音で生きる」大事さ
ポンコツらいす
——おふたりが出会ったのは、どんな場所だったのでしょうか?

まりこさん(以下、まりこ):愛知県にある、小さな玄米菜食のカフェでした。当時は2019年で、私はヨガのインストラクターとして活動していて、健康な食生活にも興味がありました。

こうせいさん(以下、こうせい):僕は、2017~2018年にかけて、製造業の夜勤で、自律神経をやられてしまって……。昼夜問わず、慢性的に体調不良だったんです。

そこで食と健康にこだわり始めて、やがて趣味になり、そのカフェを見つけたんです。2019年に営業職へ転職して、フルタイムで働けるようになってからも、そこに通い続けていました。

それで、まりこと話してみたら意気投合して、一緒におすすめのお店に行ったり、ヨガのイベントに参加したりしていました。

——当時から恋愛感情はあったのですか?

こうせい:全くない(笑)。出会った当初は既婚者かシンママなのかも知らなかったし、興味はなかったです。
女友達だと思っていましたし、そもそも友人なのか恋人候補なのかっていうジャッジやレッテル、概念で考えていませんでした。

——こうせいさんと出会って半年で、まりこさんは離婚されていますね。

まりこ:あの頃、元夫は単身赴任をしていて、私が子ども2人を育てていました。コロナで外出自粛になって、1か月も子どもが学校に行けない状況だったのに、彼からは3か月も連絡ナシ。

もともと夫婦関係は破綻していたけど、これはもう無理だな、と感じて。2020年の夏に、私から「離婚して欲しい」と切り出しました。

最初は夫は渋っていたけど、最終的に「協議離婚にして、養育費は払わない」という条件で受け入れてもらいました。

——まりこさんにとって、不利な条件に思えますが……。

まりこ:長引くのが嫌だったんです。子どもたちと会うことを禁じていませんが、今まで一度も連絡はなく、全く会っていません。離婚が成立して、シングルマザーになって、こうせいも子どもたちと一緒に遊んだり、家に出入りするようになりました。

こうせい:そのことで「あの事件」が引き起こされたっていう(笑)

「男性と同居していると通報がありました」役所からのガサ入れが……

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——「あの事件」とは?

まりこ:離婚して2ヶ月たった頃、役所の人たちが「男性と同居していると通報がありました」と、急にうちに来たんです。彼らは玄関を見渡して、男ものの靴がないか、男性と住んでいる形跡がないか、ガサ入れを開始しました。


どうやら玄関から先に入ることはできないらしく、そこから見える範囲のことを色々と聞かれました。靴のサイズを確認されて「これは大きいから男ものじゃないか」って疑われて。私は足が大きいから「私のです」って返したり。

こうせい:当時は同居も結婚の予定もなく、僕のものはひとつも家に置いていませんでした。友達以上恋人未満に近い関係ですね。でも、役所からはシングルマザー手当(児童扶養手当)を不正受給していると思われていたみたいです。

不正受給と認定されると、資格をはく奪されて、今まで手当を受けた分も払わなきゃいけなくなる。「そうされたくなかったら、家の出入りをやめるか、籍を入れるか、どちらか選べ」とのことでした。

——誰が通報したのでしょうか。

まりこ:その数日前に、子ども会の女性が、回覧板をまわしに来たんです。私は出かけていて、こうせいが留守番していたんですけど、彼女は彼の顔を見るなり「うわっ」って言って、目も合わせずに逃げるように帰っていったらしくて。

こうせい:通報を受けて2ヶ月後、2021年に籍を入れました。
当時のまりこは37歳で、僕はまだ24歳。元々結婚の必要性を感じていなかったし、そもそも告白もしていなかったので、交際関係も曖昧でした。

あの行政圧力がなかったら、そのまま自然恋愛を続けて、今の「ポンコツらいす」もなかったかもしれません(笑)

年の差がうんだ嫉妬と不安、そして「非行」へ

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——13歳差という、年の差があるからこその葛藤はありましたか?

まりこ:女として13歳年上だと、どうしても「老い」や「見た目」に意識がいくんです。SNSを開けば、きれいな若い子ばかりが目に飛び込んでくるじゃないですか。「私はバツイチで、子どももいるし、敵わないな」って勝手に比べて落ち込んでしまう。

そんな中で若い彼が、楽しそうにSNSで人と繋がっているのを見ると、どんどん不安になって……。彼がインスタグラムでつながってる女性には、全員嫉妬してました。それで私が詰め寄ることも増えて、結果的に彼を追い詰めてしまっていました。

——こうせいさんはどう感じていたのでしょう?

こうせい:僕はSNS世代ということもあり、フォロワーとは性別を問わず、気軽にやり取りをするんです。まりことも最初は趣味で繋がった女友達だったように、他にも同じバンドを好きな女友達もいました。正直、「個別で異性とやり取りするのは、仲良しのはじまり」とまりこに言われても、ピンと来なかったです。

まりこ:私としては、趣味の友達との連絡は、別に禁止はしていないし、一度説明されれば理解していました。でも、毎日のように問いただしていただことが、彼にとって負担になっていたんです。


こうせい:僕くらいの年齢だと、まだ結婚している友達がいないから、そのことを相談できる人がいない。精神的に追い詰められて、「男性としての器量が足りないから、上手くいかないんだろう」と判断したんです。

そこで「男磨き」のつもりで、浮気へ。たくさんの女の子と「非行」に走ったんです。

1週間眠らずに語り合い、「浮気公認」の夫婦に

——「非行」から、どうやって関係を修復していったのですか?

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こうせい:1週間くらいほとんど寝ずに話し合いました。そうしたら「人って制限されたり、がんじがらめにされると、心から望んでいなかったり、求めていなかったものに走る傾向にあるよね」という結論に至りました。

というのも、僕自身、ひとりの女の子と「非行」に走っていたわけじゃない。いろんな子と遊んでいただけで、心から浮気をしたいわけではなかった。

まりこ:だから、もう制限を外してみよう。もう好きに浮気すればいいよ、ということで「浮気公認」にしました。ただし条件があって、事後報告じゃなくて事前報告で。

あと、私も彼を追い詰めている自覚があったから、自分だけに意識を向けるようにしたり、彼に執着しないようにトライ&エラーを繰り返していました。

——浮気をきっかけに、関係を終わらせることはしなかったのですね。


こうせい:お互いに好きであることは間違いなかったから、その選択肢は一切なかったです。「こうならないためには、どうしよう?」ということを真剣に話し合っていました。

浮気公認になったから、遊び放題……ではなくて(笑)、実は一切浮気をしなくなりました。

話し合ったことでわだかりも解けて、まりこからの強い嫉妬と束縛がなくなって、ストレスがなくなった。あと「男性としての器量が上がった」と自己認識できたから、「浮気=男磨き」をする理由がなくなったので(笑)

まりこ:この件は無事に収束して、2024年には二人の間に、子どもも生まれました。

「本音で向き合うこと」が二人のルール

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——おふたりが大切にしている「夫婦のルール」はありますか?

まりこ:とにかく本音で向き合うこと。たとえば「この話、重いかな」「言いにくいな」と思うことほど、先に口に出す。勇気はいりますけど、黙っているとどんどん溝が広がっていくから。

こうせい:ケンカになっても、その先にちゃんとゴールがある。意見がぶつかっても、最終的にはいい方向に進むっていう確信があるから。時には泣いたり、僕が殴られたり(笑)。でもその分だけ、本気で向き合っている証拠です。


まりこ:私たちの世代は若い頃から「波風を立てないことが大事」「我慢して丸く収めるのが大人」って教わってきました。

でもそれだと、何も変わらないんですよ。10代、20代の頃は、周囲の空気を気にして、言いたいことも言えなかった。でもそれで何かがよくなることって一度もなかったんです。

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——本音でぶつかるのは、エネルギーが必要ですよね。

まりこ:時間もかかりますよ。気まずい時期もあります。数日間、口をきかないこともある。それでも「腹を割って話せる相手であり続ける」ということを、日常の中で意識しています。

こうせい:本音で話すって、別れを覚悟することでもあります。話し合っても、どうしても埋まらない価値観の違いがあるなら、終わらせるという選択もある。

でも逆に、「もうだめだ」と思うことを避け続けているほうが、時間を無駄にしてしまうんです。

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——年の差だけでなく、まりこさんが再婚ということも関係していますか?

まりこ:話し合いができない関係は、いくら経済的に安定していても続ける意味がない。前の夫とは、求めるものが違っていて、話し合いすらできませんでした。

今は昔より経済的に安定していないけど、幸せです。「ちゃんと愛してくれない人と離れる強さ」が必要だというのは、つくづく感じます。

こうせい:夫婦って、一番長く一緒にいる相手ですよね。本来なら喜びや楽しみを分かち合いたいじゃないですか。それができないなら、うわべだけ幸せそうに見える関係なんて、意味がない。本音ベースで生きれば、もっと軽やかに生きられると思います。

——「仲良くする気がない相手との関係性は、悩んでいる時間が無駄」「逆に、仲良くしたい相手とは全力で向き合うべき」そう言い切る2人の笑顔は、本音で生きることの大事さを教えてくれた。

<取材・文/綾部まと>

【綾部まと】
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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