「悪の帝国」再来?大谷率いるドジャースの圧倒的戦力
潤沢な資金を武器に大谷翔平を筆頭としたスター選手をそろえ、「悪の帝国」と呼ばれることもあるドジャース。四半世紀前のヤンキースもまた、金満補強を繰り返し、「悪の帝国」と呼ばれ、全米にアンチも増殖した。黄金時代を築いた当時のヤンキースには、大谷翔平のような絶対的な存在がいなかった。実際に、連覇した3年間にMVPとサイ・ヤング賞に選ばれたヤンキースの選手は皆無。その代わり「コア4」と呼ばれる生え抜きの4選手がチームの主力として躍動した。
コア4の代表格は遊撃手のデレク・ジーターだった。俊足・好打・好守と三拍子そろった名プレーヤーだったが、何より光ったのは、ポストシーズンでの勝負強さ。まさに“勝つ野球”を体現し、“ザ・キャプテン”という呼び名にふさわしい選手だった。
他に捕手のホルヘ・ポサダ、左腕のアンディ・ペティット、不動の守護神マリアノ・リベラがほぼ同時期にヤンキースを支えた。
また、冷静沈着なジョー・トーリ監督の采配も大人びたチームにフィット。1996年の優勝を含めて5年間で4度の世界一は、20世紀最後の快挙だったといえるだろう。
今のドジャースは、当時のヤンキースに匹敵する補強を見せている。来季は26年ぶりのワールドシリーズ3連覇、さらにその先には1949~53年にやはりヤンキースが達成したメジャー記録の5連覇も視界に入ってくるはずだ。
連覇記録を伸ばすには「世代交代」がカギ
ただし、ドジャースが連覇の記録を伸ばすためには、チーム内の新陳代謝が必要不可欠。野球統計サイト『Baseball Reference』によると、打数なども加味した今季のドジャース野手陣の平均年齢は30.7歳。これはフィリーズの30.3歳を上回りメジャー最年長だった。複数年契約を結んでいるフレディ・フリーマン(35歳)やムーキー・ベッツ(32歳)など主力の野手は軒並み30代に突入しており、年齢的にもパフォーマンスは下ることがあっても上がることは考えにくい。1~2年以内に相当な血の入れ替えを敢行しなければ、世代交代に失敗する可能性もある。
佐々木朗希の起用法がチームの命運を握る
また来季に関していえば、野手陣の世代交代以上に重要となるのが守護神をどうするか。今季は左腕のタナー・スコットがチーム最多となる23セーブを挙げたが、シーズン終盤は不安定な投球を繰り返し、チームの失速にもつながった。ポストシーズンでは、救世主のごとく佐々木朗希が登場したが、本人は先発へのこだわりを隠していない。佐々木のリリーフ起用はあくまでも暫定的なものだった。
それでも短いイニングだからこそ、佐々木は躍動感を見せ、将来的に守護神の座を任せるにふさわしいと感じたファンも少なくないはずだ。常時160キロを超えるフォーシームと落差のあるスプリットは紛れもなく守護神としてより威力を発揮するだろう。
佐々木朗希が“第2のリベラ”を目指す可能性は?
もし佐々木が来季ふたたび、先発としてメジャー定着を狙うとなると、6人のローテーションに割って入らなければいけない。ドジャースは、通算223勝を挙げたクレイトン・カーショーが現役を引退したとはいえ、ポストシーズンで先発を務めた山本由伸、大谷翔平、ブレーク・スネル、タイラー・グラスナウの4本柱は来季も健在だ。さらに今季途中に頭角を現した25歳のエメ・シーハンや、右肩の手術で今季全休したギャビン・ストーンなどが控えており、佐々木のローテーション入りは当然、確約されるような状況ではない。
今季の佐々木はフォーシームとスプリットが投球全体の80%以上を占めたが、第3の球種、スライダーは16.3%止まり。
今季の佐々木はリベラと重なる部分も
やや強引だが、今季の佐々木は、かつてのマリアノ・リベラと重なる部分もあった。リベラも元々は先発投手としてマイナーで研鑽を積み、メジャーでも先発投手としてデビューした。ところが、25歳で迎えた1995年のメジャー1年目は思うような投球ができず。先発投手として10試合に登板するも、3勝3敗、防御率5.94と打ち込まれ、シーズン終盤にリリーフへ回ったことが新たな才能を開花させるきっかけにもなった。
メジャー1年目の佐々木はシーズン序盤に早々と“先発失格”の烙印を押され、まさに30年前のリベラと同じ道を歩んだ。リベラのような絶対的なクローザー像を目指すのも、選択肢の一つとなるはず。
憎たらしいほど強かった“悪の帝国”ヤンキース。その再現に向けて、ドジャースが連覇を伸ばせるか——カギを握るのは、他でもない佐々木朗希かもしれない。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。
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