「初任給をもらった日はあんなに嬉しかったのに、今では給料が足りないと嘆いている」「好きな仕事に就けて喜んでいたのに、最近は毎日つまらなくて辞めたい」
そんな風に、月日とともに気持ちが下がってしまったことはありませんか?
人は幸せに慣れやすく、「もっと」を求めてしまうもの。そして皮肉にも、この“もっとを求める心”が逆に人を不幸にしていくのです。
今回は、夜の銀座と経済の取材現場で働き、多くの超富裕層の方々に出会ってきた私が学んだ「不幸にならないためのヒント」をお話しします。
「生活レベルを上げることは“負債”」60億円投資家の言葉
私の知る資産60億円超の投資家の方はこう言います。「生活レベルを上げることは一番の“負債”だよ」
まず、タワマンやブランド品などにお金を使っても、幸福感は長続きしないのだそう。
これは行動経済学でも証明されています。「快楽順応」といって、人はどんな快楽(幸せ)にも時間とともに慣れてしまい、さらに上を求めてしまうのです。
簡単に生活レベルを上げてしまうことのできるお金持ちほど、この“快楽順応”の罠に陥りやすいのですね。
さらに、一度生活レベルを上げると、維持するにもお金がかかりつづけ、下げようとすれば精神的な苦痛が伴う。
まさに「負債」という表現が腑に落ちますね。
だから「生活レベルを上げること」には何より慎重になるべきだ―と。
「幸福のランニングマシン」を走る私たち
人が「もっと」と幸せを追い求めて走りつづける姿は、心理学で「幸福のランニングマシン」といわれています。走っても走ってもマシンの上なので、ゴールには辿りつきません。
また、禅の考えでもブッダがこう説いています。
「苦しみをもたらしているのは“求める心”である」「“求める心”が、“満たされなさ”の繰り返しを生む」
昔から、私たちを不幸にしているのは、他でもない自分自身の心であるーーと。どれだけ贅沢を重ねても、満たされるわけがないことがわかりますね。
仕事でも「もっと」のループは危険
私自身の話で恐縮ですが、身をもってこれを経験しました。
私は子どもの頃から結果主義で、「テストは学年で1番でなかったら意味がない」「県内で1番の高校に受からなければ意味がない」と思ってしまう子でした。
大人になって、この気質をわかりやすく満たせるのが、売上で順位が決まる夜の世界だったのです。
最初は東京郊外でNo.1になり、悔いなく辞めたはずが、のちに「銀座のお店でも1番を取りたい」と思い、再び夜の世界に飛び込みました。
ところが、いざ銀座のお店でNo.1を取ると、今度は「もっと大きなお店で1番を取りたい」という気持ちが湧いてきてしまったのです。
新しい幸せは喪失感の先にある
でも同時に「どこがゴールなんだろう?」と。「こうして呪縛みたいに1番を追いつづけていたら、きっと自分はいつまでも満足できない」とも思いました。
夜の世界は好きだけれど、数字のために人に嫌われてしまうこともあったし、本当は超えたくない一線を越えていく。翌日の来店予定が不安で眠れず、同伴をドタキャンされる夢で目を覚ます。寝不足の体に、売上のために必死にシャンパンを流し込むーー。
そんな日々に戻ってまで本当にまた1番を取りたいの?と。
そこで、自分の性分に逆らって、思い切って夜を辞め、戻らないことを貫いてみたのです。
正直、辞めた直後はとてつもない喪失感で、「戻りたい」とばかり毎日ずっと考えていました。
でもしばらくすると、夜を続けていたら決して得られなかった収入や出会いに恵まれました。
辞めて半年以上が経って、あれほど「戻りたい」と思っていた気持ちが完全に消え、心がとても穏やかになったことを深く自覚しています。
仕事も人間関係も、何ひとつ無理をしていないのに、金銭的にも精神的にもとても満たされているのです。
もし夜に戻っていたら、今頃はまた数字に支配されて、とても苦しかったと思います。「もっと」を思い切って手放すことで初めて、新しい幸せが巡ってくると知りました。
「足るを知る」の感覚がないと幸せはない
もちろん、お金も仕事も「もっと」を追うことで自分が前向きにいられて、充実感や達成感を得られるのなら、それでいいのです。でも、少しでも「幸せじゃないかもしれない」と感じるなら、意識的に「もっと」にブレーキをかけたり、手放してみることが大切だと今は思っています。
どれだけ追い求めても、「足るを知る」という感覚がない限りは、人はいつまでも幸せになれないのではないかと思います。
何事においても、自分にとっての“足る”はどの程度なのかを、考えておきたいですね。<文/山崎みほ>
―[経済レポーター×銀座No.1ホステス・山崎みほ]―
【山崎みほ】
経済レポーター。証券外務員一種/行動心理士。
株式投資情報のレポーターとして、上場企業の取材記事や経済ニュースを執筆。Yahoo!ファイナンス、YouTube等メディアでは上場企業社長のインタビューも行う。また、銀座の高級クラブでホステスとしても勤務、心理学と行動経済学の知識を基にNo.1を獲得。経済レポーターの深い洞察力と人気ホステスとして培った対人関係術を融合し、夜の世界では1日40組、昼間の営業職では成約率90%の成績を上げるなど、昼夜問わず結果を出すスタイルを築いている。Xアカウント:@mihoy001
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