将棋の福間香奈女流王位=清麗、女流王座、女流名人、倉敷藤花と五冠=の就位式が1日、大阪市福島区の関西将棋会館で行われた。

 同タイトルは今年4、5月に加藤桃子女流四段の挑戦を受け、五番勝負は無傷の3連勝で6期連続V(通算10期)。

福間姓(旧姓・里見)では初制覇となった。

 福間は現在、妊娠8か月で12月に出産を予定している。その体調に配慮して、本来なら東京で開かれる就位式が在住する大阪に変更された。大阪でのタイトル就位式は異例で、11月には大阪・高槻市に新会館がオープンするとあって、福島区の同館では最後の式典でもある。

 福間は「私自身の体調に臨機応変に対応していただいた。ずっと勉強してきた場ですので、すごく幸せです」と関係者に感謝。祝辞は「先生が将棋を教えてくれたから今がある」と、奨励会在籍時代からVS(練習将棋)の相手をしてくれた恩師・畠山鎮八段に「ダメ元で」お願いし、快諾を得た。

 畠山八段は「福間さんは頑張り過ぎてしまう。新しい命を授かったのですから『大丈夫です』と言わないよう、無理せずに。お体には気をつけてください」と激励した。

 8月の妊娠公表からは、バッグにはマタニティーマークを付けている。お腹の子どもは順調に育っており、対局中に蹴ってくることも「あります。

結構、ポコポコと」とニッコリ。故郷の島根・出雲市の両親は「心配しています」と苦笑いしたが、先にママになった実妹・川又咲紀女流初段も手を貸してくれるという。

 今月12日には「ザ・ゲートホテル京都高瀬川」で西山朋佳白玲=女王、女流王将=に挑んでいる第4期白玲戦七番勝負が控える。先月28日に金沢で予定されていた第4局が、西山のコロナ感染のため中止になり、京都決戦が第4局になった。「(出産は)経験したことがないので、体調を第一に考えて」と、研究との両立も大変だが、棋士編入試験(西山1勝)に臨んでいる宿敵相手に2勝1敗で勝ち越しており、奪冠へ王手をかけたいところだ。

 なお、藤井聡太王位との記念対局は、今年は実施を見送られる。

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