女優・吉永小百合(80)が世界最高峰のエベレストに女性で初めて登頂に成功した登山家・田部井淳子さん(2016年没、享年77)を演じる主演映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」(阪本順治監督、10月31日公開)の完成報告会見が13日、都内で行われた。この日は、田部井さん夫婦の青年期を演じるのん(31)、工藤阿須加(33)らの新キャストも発表された。
のんが、吉永が演じる主人公の青年期役で出演する。やや緊張した表情で「こんな素敵な役をいただけるなんて、心からうれしくて興奮しています」と声を弾ませた。
オファーを受けた際の心境を「巨大なプレッシャーでした。びっくりして、うれしい、どうしようと舞い上がって『吉永さんの青年期に見えなきゃいけない』というのが、のしかかってきて、気合が入りました」と告白。撮影前、吉永の出演作を見返して「瞳の力に魅了されたので、どうにか1%くらい、その瞳のパワーを表現できないかなと研究しました」と明かした。
同一人物のため、共演シーンこそなかったが、試写を見た吉永は「本当にのんさんがかわいくて、自分の娘にこんな子がいたらいいなと思うくらい素敵でした」。坂本龍一さん(享年71)のコンサート「東北ユースオーケストラ」で朗読をした共通点も明かし、「心が通い合っていたので、今回もやっていただいて良かった」とのんの出演を歓迎した。
佐藤浩市(64)が演じた純子の夫・正明の青年期役は工藤阿須加が務めた。「役者人生において、尊敬する先輩の若かりし頃を演じるのは、そんなにないこと。マイナスなプレッシャーよりは、プラスなプレッシャーに変えていこうという思いが強かった」と撮影を振り返った。
この日はほか、天海祐希、木村文乃、若葉竜也、茅島みずきも登壇した。
〇…吉永と2度目のタッグとなる阪本監督。
佐藤浩市「自分が役者を始めた頃に『将来、吉永小百合さんの相手役をやらせてもらう』と言ったら、当時の映画人に鼻で笑われるか、どなられるか、どっちかだったでしょう。信じられない思い」
天海祐希「親友役ということで、支え続けているようで、励まされている形だった。おこがましいですが、私と吉永さんの関係もそうかなと思います」
茅島みずき「緊張と不安とプレッシャーしかなかったけど、優しい言葉をかけていただいて、(同じ悦子役の)天海さんの人柄に助けていただいた」
木村文乃「あまりにも、お父さん(佐藤)、お母さん(吉永)がかわいらしくてチャーミング。『私こんな夫婦になりたい』と思うくらい、憧れの夫婦でした」
若葉竜也「吉永さんとのお芝居は楽しみだけでなく、とてつもない緊張でした。すべて見透かされている恐怖感と向き合わないといけないと思いました」