◆第107回全国高校野球沖縄大会1回戦 八重山商工6―1球陽(14日・沖縄セルラースタジアム那覇)

 第107回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕・甲子園)の出場49校を決める地方大会が14日、全国のトップを切って沖縄で開幕し、日本最南端の八重山商工が今夏の一番星を挙げた。選手27人全員が石垣島出身で、伊良部昂主将(3年)は「島から甲子園へ」と、大嶺祐太(元ロッテ)を擁して聖地で2勝した2006年以来19年ぶりの夏切符を目指す。

 雲の合間から差し込む南国の陽光をスポットライトに、八重山商工ナインの日焼けした笑顔が輝いた。全国で最初に校歌を歌った喜びに浸った。初回に1点を先制されたが、10安打で逆転。伊良部主将は「開幕戦に決まってから打撃中心に練習してきたことが出せた」と声を張った。

 東京から約2000キロ。石垣島にあり日本最南端の高校でもある同校は、06年に大嶺祐太を擁して春夏連続で甲子園に初出場した。以降、県外からの野球留学生も増えた一方、島内の有望中学生が島外の高校へ進むようになった。平良(西武)がエースだった16年も8強止まり。そこからは3回戦にも進めず、22年は部員が9人までに減り、1回戦コールド負けを喫した。当時、中3だった伊良部は「自分たちの島から甲子園を目指そう」と周辺の中学生に声をかけて八重山商工に進学。今は選手27人全員が島内出身だ。

 現3年生の多くが1年時から出場して経験を積み、昨秋県大会では準々決勝でセンバツに出場したエナジックスポーツに0―3で敗れたものの着実に力を付けた。

「いい結果を残すことで、(島の)小学生や中学生に八重山商工に入りたいという気持ちにさせたい。優勝したい」と伊良部。日本最南端から19年ぶりの聖地へ。石垣島のプライドを胸に、島っ子球児の熱い戦いが始まった。(秋本 正己)

「島から」夏は3校 ◆記録メモ 八重山商工、八重山がそろって初戦突破。過去、島(沖縄本島除く)の学校で春夏の甲子園に出場したのは、今春の壱岐(長崎)まで9校(15度)。うち、夏の選手権出場は、75年洲本(兵庫)、99年久賀(現周防大島・山口)、06年八重山商工(沖縄)の3校。八重山商工は2度目の出場となるか。

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