◆バレーボール ▽ネーションズリーグ(NL)男子千葉大会 日本3―1ドイツ(16日、千葉ポートアリーナ)

 1次リーグ男子千葉大会が開幕し、世界ランク6位の日本は同8位のドイツに3―1で逆転勝ちし、今季ホーム初戦を飾った。28年ロサンゼルス五輪に向けた新チームに初めて合流した高橋藍(らん、23)=サントリー=がチーム3位の19得点でけん引した。

昨夏のパリ五輪1次リーグ初戦で敗れた相手に雪辱し、6勝目(3敗)を挙げた。開催国と上位7チームによる決勝大会(30日開幕、中国)進出に前進。17日に同9位のアルゼンチンと戦う。

 藍がロス五輪へ大きな一歩を踏み出した。新体制への合流初戦で19得点と逆転勝利に貢献。「緊張もあったけどワクワクした。五輪で負けたドイツに勝てたのは、自分たちにとって大きな一歩」。咋夏のパリ五輪の雪辱を果たして、笑顔がはじけた。

 日本は第1セット(S)を取られたが、第2、3Sを連取。嫌な空気を吹き飛ばしたのが藍だった。「困ったら自分に(トスを)持ってきて。そっちの方が燃える」とセッター永露に声をかけた。

迎えた1―1の第3S、18―21の劣勢でサーブレシーブした藍にトスが上がると、レフトから強打を浴びせた。「パーン」と地面にスパイクをたたきつける音が響くと、超満員7330人が来場し、2階席上段まで埋まった会場のボルテージが一気に高まった。セットポイントからも決めきり、「1点を取れるエースを求めてきた。大事な場面で決め切れたのは自信にしていきたい」。エースがチームを勝利に導いた。

 悔し涙を糧に、藍は日本で成長した。パリ五輪準々決勝でイタリアに逆転で惜敗。「1点をどう取るか」。イタリア・セリエAから、昨秋開幕の大同生命SVリーグに戦いの場を移した。世界屈指の組織的守備に対して「スピードにこだわった」とスパイクを磨いた。初動から打点までの動きとスイングの速度を上げ「ブロックが完成するまでに打ち切る」。欧州で身につけたブロック利用のうまさに加え、速さが備わった。

欧州勢とは五輪以来の対戦となったこの日は、第4Sに2枚のブロックが跳び切る前にたたき込んだ。

 藍、石川ら主力が今大会から合流し、28年ロス五輪に向けたロラン・ティリ監督(61)の新体制ホーム初戦で好発進。17日は高さのある難敵・アルゼンチンと対戦する。勢いに乗って決勝大会進出を決める。「勝利はしたが、満足していない。コンビネーションの精度を高め、強さを求めていかないといけない。試合の中で成長していく」と藍。パリの悔し涙からはい上がったエースのロスへの戦いが幕を開けた。(宮下 京香)

 ◆石川、チーム最多22得点 今大会初出場となった主将の石川は、チーム最多22得点で勝利に貢献した。しかし、5日の沖縄合宿から合流したばかりで自身は納得していない。「セッターとのコンビがまだまだ合っていないところもあったし、終わって見れば最多得点でしたが、まったく取った気分じゃない。もうちょっと取れたところもあったので。

攻守ともにもう少しパフォーマンスを上げていきたい」と次戦に向けて気を引き締めた。

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