阪神・今朝丸裕喜投手(19)が1軍デビューを目指し、鍛錬を積んでいる。報徳学園(兵庫)からドラフト2位で入団したルーキー。

5月には“プロ初先発”を果たし、6月29日の中日戦(SGL)では7回で11三振を奪うなど、メキメキ成長中だ。高校時代の教えを胸に刻み、先輩右腕からも学ぶ日々。金の卵の「現在地」に迫った。

 金の卵がグングン成長している。阪神・今朝丸が2軍施設のSGLで大きな進化を遂げている。「一番は体が変わりました。なかなか増えなかった体重が4~5キロも増えて。食事は栄養士さんがアドバイスしてくれるので、バランス良く、たくさん食べてます」。体重は77キロまで増加。その影響で投球に変化を感じている。「多少、甘くなったボールでもファウルが取れるようになった。次は空振りを取れるようになりたい」。

ルーキーイヤーの夏、目標は明確だ。

 報徳学園時代は春夏3度甲子園に出場し、2年連続でセンバツ準優勝。U18アジア選手権では決勝の先発も任された。猛虎の近未来を担うエース候補。5月22日のオリックス戦(SGL)では“プロ初先発”を果たした。ここまで2軍戦で2軍戦で8試合に登板し4勝0敗、防御率2・17。6月29日の中日戦(SGL)ではプロ最長の7回を1失点で11三振を奪った。

 「3巡目から捉えられることも多い。もっともっと、直球を磨いていかないと」。本人はさらなる課題を口にし、ランニング量を増やすなど貪欲に取り組んでいる。首脳陣の評価は高く、平田2軍監督は「慌てないやん。高校生(高卒1年目)でこんなに落ち着いて投げているんだから、さすが!」と舌を巻いている。

 経験豊富な先輩からも学ぶ。2軍調整中のチーム最年長・西勇からは“ルーチン”を教わった。「西さんはブルペンで3球目くらいまで軽く投げた後、全力で投げる。その方が制球がまとまる、と。僕も取り入れてからコントロールが良くなった」。全てが学びの毎日に充実感が漂う。

 野球に没頭する日々だが、ふとした瞬間に高校時代の教えを思い返すという。「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな―」。今朝丸が胸に刻む言葉だ。「報徳学園で(監督の)大角先生から学んだ言葉で。この先、活躍するようになっても常に謙虚な“稲穂精神”を大切にしたい」。聖地を沸かせた高校時代に見つけた人生の指針を大切に、今季中の1軍デビューを目指す。

(直川 響)

 ◆今朝丸 裕喜(けさまる・ゆうき)2006年6月2日、兵庫・神戸市生まれ。19歳。東灘小3年から野球を始め、本庄中では硬式の関メディベースボール学院中等部でプレーし、タイガースカップ出場。報徳学園では1年秋から背番号「10」でベンチ入り。2、3年春にセンバツ準優勝。24年のドラフト2位で阪神入団。187センチ、77キロ。右投右打。背番号28。今季の推定年俸720万円。

編集部おすすめ