◆第107回全国高校野球選手権広島大会▽3回戦 広島商4―2英数学館(17日・ぶんちゃんしまなみ)

 涙はなかった。英数学館の最速149キロ右腕・藤本勇太(3年)は、昨秋の明治神宮大会準Vの広島商に8回8安打4失点と苦戦。

それでも、公式戦自己最速の148キロを計測と一歩も引かず、「出し切れた。悔いはない」と笑顔だった。

 NPB11球団、約40人のスカウト陣が集結し、巨人は9人態勢を敷いた。水野編成本部長代理スカウト担当は「真っすぐがいい。野球センスがある」と評価。阪神の山本スカウトも「緩急を使える」と熱視線を送った。

 広島のエースとして球団最多213勝を挙げた故・北別府学さんは、19年末まで臨時コーチを務めていた。「百折不撓(ひゃくせつふとう=何度挫折してもくじけずに挑戦し続ける)」の教えが今も受け継がれる。「3年間、何回も投げて負けることがあったけど、折れずに努力できたのはすごく大きかった」。入学時、最速128キロだった右腕は目覚ましい成長を遂げ、今春は初の県制覇を達成。プロ志望届の提出を明言した藤本は、次なる夢を追う。(瀬川 楓花)

 ◆藤本 勇太(ふじもと・ゆうた)2007年8月28日、広島・庄原市生まれ。

17歳。小学4年から軟式の東城ファイターズで野球を始め、東城中では軟式野球部。英数学館では1年春からベンチ入り。変化球はスライダー、カーブ、カットボール、スプリット。177センチ、70キロ。右投右打。

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