◆JERA セ・リーグ ヤクルト3―2巨人(17日・神宮)
巨人の中山礼都内野手(23)は祈るような思いで打球を見つめた。同点の6回1死。
今度は切れなかった。13日のDeNA戦(横浜)では1点を追う8回2死で右翼ポール際に特大の当たりを放ったが、惜しくもファウル。「ああいうところで打てるように。日頃から改めます」と悔しさをにじませていた。この日は厳しい内角の球を一閃(いっせん)。右翼手の高橋由伸やイチローのような選手へ成長してほしいという願いを込めて「礼都(らいと)」と名付けられた若武者が1号に続きライトスタンドに運んだ。
励みになった。12日の試合前。ナイトゲームだったため午前中にG球場に足を運び、自主練習を行った。マシン打撃やトレーニングでみっちり練習するとともに、ファームのスタッフに久しぶりに再会。「2軍の試合がたまたまジャイアンツ球場で。いろんな方やトレーナーさんに会えていい機会になった」と充実の時を過ごした。
左肘じん帯損傷からの復帰を目指してリハビリ中の岡本にも会えた。8日の中日戦(山形)でのサヨナラ勝ちにつながる左前適時打と、6月29日のプロ1号を主砲から祝福されたという。「清水さんから代打で打ったレフト前をすごい褒めてくれた。『初ホームランおめでとう』と言ってくれました」。うれしかった。尊敬する先輩からの言葉が自信をくれた。
本職は内野ながら、先発時は9試合連続左翼で出場。6回無死二塁、左翼線への安打で惜しくも補殺にはならなかったが、本塁へ好返球を披露した。6月29日のプロ1号時も左翼での出場で、左翼起用が板についてきた。外野のレギュラーは丸のみで残りの2枠は固まっていない中、出場4戦連続安打とアピール。「いい準備ができてヒットも出ている。継続していきたい」。勢いそのままに定位置奪取への道を切り開く。(宮内 孝太)
◆清水隆行Point 中山はインハイの難しい球を、腕をたたんで体を小さく使ってうまく打った。本塁打だけではなく、第1打席の右前安打も3回の遊ゴロも内容が良かった。振れる力がついたことで、バットだけではなく体も振ってしまい、オーバースイングになる傾向も少し出てきていたが、ここ最近は修正が利き体を大きく使い過ぎずに打てていた。この打撃を続ければ、首脳陣の信頼はさらに上がっていく。(野球評論家)